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日本でも部活指導員に支払われる報酬 指導者報酬の金額を米国は誰がどう決めるのか

労使協定の規定額をはるかに上回る報酬で問題視されるケースも

 1番目は「給与に対する割合型」である。教員としてもらっている給与のうち、たとえば12%を課外活動指導報酬として支払うという形式である。ただし、課外活動と一口にいっても、活動時間の長いものもあれば、短いものもある。活動時間の長いものは12%、活動時間の短いものは3%などとしている。

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 2番目は「指導経験年数による昇給型」だ。課外活動の指導年数とともに、少しずつ報酬があがっていく。3番目は「同一労働同一賃金型」で、教員としての給与や課外活動指導の経験年数にかかわらず、同じ報酬が支払われる。

 2番目、3番目の指導者報酬でも、活動時間の長いものは、より金額が大きく、活動時間の少ないものは報酬額も少ない。また、ヘッドコーチのほかに、アシスタントコーチをつけている運動部がほとんどだが、ヘッドコーチとアシスタントコーチは仕事量が違うので、報酬の金額も異なっている。

 指導者報酬の金額の平均値は出せていないが、3つの型とも、活動時間の長い運動部のヘッドコーチの報酬は、だいたい教員給与の10%台に収まるようである。教員以外の外部の指導者にも労使協定で規定したこの金額が支払われる。

 課外活動の指導者報酬は労使の協定によって規定されているが、実は、この規定額をはるかに上回る高額の報酬をもらっていて、問題視されているケースもある。

 ワシントン州ベルビュー学区の労使協定では、課外活動の指導者報酬の最高額は5600ドル(約68万円)と規定されていたにもかかわらず、高校アメリカンフットボール部のヘッドコーチは10倍近い5万5000ドル(約670万円)を受け取っていた。2006年10月17日付のシアトルタイムズ電子版が伝えている。

 この背景には「ブースタークラブ」という存在が絡んでいる。ブースタークラブとは主に保護者や支援者から成る後援会のようなもので、ボランティアが試合前の食事を提供したり、チームに必要な物品購入をサポートしたりするものだ。多くの運動部がこのようなブースタークラブを持っていて、筆者も保護者としてブースタークラブの活動に加わり、部の保護者や支援者からお金を募り、練習用シャツを1人2枚提供するなどしたことがある。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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