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羽生結弦、浅田真央ら見守った14年間 フィギュア日本代表ドクターの知られざる苦労

選手の活躍を間近で見続け、「成績は関係ない。みんな無事に帰ってくる、それだけで満足」と話す土屋明弘さん【写真:浜田洋平】
選手の活躍を間近で見続け、「成績は関係ない。みんな無事に帰ってくる、それだけで満足」と話す土屋明弘さん【写真:浜田洋平】

大事にしている2つの意識とは「選手を差別しないように…」

 大事にしていることは主に2つある。

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「差別しないように。誰が強い、弱いとか関係なくフラットに接することが第一です。もう一つは、繊細なアスリートへの配慮が必要です。大会の時、わざわざこちらから声をかけすぎないようにします。痛みの話をすると、かえって気にする選手もいますから。何か動きが悪ければ聞くかもしれないですが、基本的には怪我の意識を高めない。代表チームのドクターなので、普段の練習を全く見ていない人が踏み込まないよう心掛けています」

 長野市出身、千葉大医学部時代はラグビーに打ち込み、「スポーツに関わりたい」と整形外科を選んだ。1981年の大学卒業からドクター歴は40年。Jリーグ・柏レイソル、ラグビー・リーグワンの浦安(旧・NTTコム)でもチームドクターを経験した。

 現在は千葉・船橋整形外科病院に勤めている。膝や足首の関節などの新しい手術法を考案した名医。スケートとの出会いは突然だった。

 1990年代の終わり、千葉県スポーツ協会のドクターを務めていた時、国体に出場するスケートチームには担当者がいなかった。「長野出身だからスケートもできるだろう」と言われ、半ば強引に回ってきた役。大会中に県のスケート連盟職員と仲が深まり、毎年担当するようになった。

 2002年ソルトレイクシティ五輪、男子シングルで金メダルを獲得したアレクセイ・ヤグディン(ロシア)を見て、自身の娘と息子がフィギュアスケートを始めた。息子の合宿に付き添うと、もともと顔見知りだった日本スケート連盟の医事委員長に遭遇。「手伝ってよ」と打診を受け、08年から日本連盟医事委員の一人になった。

 以降、世界選手権や四大陸選手権などの国際大会は「ほとんど皆勤賞」。五輪は各国に割り当てられる入場パスに限りがあるため、ソチ五輪は合宿地のアルメニアに待機して選手たちを支えた。

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