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仙台育英21連覇の裏に敗戦校の成長 ラグビー元日本代表主将が贈った言葉

20161025_rugby

試合の入りはよかったが…、「もったいないシーンが多かった」

 試合当日、グラウンドでのウォーミングアップを前に、菊谷は選手たちを激励した。

「伝えたいことが2つあります。まず一つが、この場に自分たちがジャージーを着て立てるというこの環境に感謝してほしい。監督、コーチ、保護者、マネージャー、試合に出られないメンバー、自分たちが打ち負かしてきた高校、そういった人たちの代表でこの舞台に立てるということ。そしてもう一つ、ここにいるメンバーは生涯の友達だということ。そういう仲間を信じて60分間戦ってほしい。ユアテックスタジアムという素晴らしい環境で試合ができることも一生の思い出になると思う。

 こういった舞台だから緊張して当然。ラグビーでミスしない選手なんていない。オールブラックスだって、オーストラリア代表だってミスをする。ミスしたらまずいと思わなくていい。ミスをしたら次のプレーで取り返す。もっといいプレーをして取り返そうと思えばいい。ミスをしてもチームメイトである友達が助けてくれると思えば、チームが一体になる。そういった気持ちを持っていれば、ここにいるみんなの力で勝てると思う。60分間楽しんで戦って下さい」

 そんな菊谷の言葉を胸に石巻工業は、臆することなく絶対王者である仙台育英に立ち向かった。パワーのあるフォワード陣や華麗なパスワークを誇る相手に対しても、チーム全員で助け合い、試合の立ち上がりは得点を許さない展開が続いた。

 しかし、猛攻を仕掛ける仙台育英に前半10分、先制トライを許すと、その後も失点を重ねて0-28で前半を終了。ハーフタイムに菊谷は「試合の入りは非常に良かった。でも大事なところでのミスが続き、もったいないシーンが多かった。後半の最初にしっかり入れれば、まだまだいける。相手だってミスをする」と話し、石巻工業ももう一度気持ちを入れ直して後半に臨んだが、相手の勢いを止めることはできなかった。後半だけで相手に6トライを含む40得点を許し、0-68で敗北。花園出場はならなかった。

 涙を流してうつむく選手たちに、石巻工業の木田監督は「悔しいけど5分でも10分でもクールダウンをしよう」と声を掛け、顧問の岡教諭も「1、2年生は来年もこの舞台にあがれるように、もう一度やり直そう」と励ました。そして、ロッカールームに引き上げた選手たちへ菊谷はこうメッセージを送った。

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