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日本卓球は福原愛がいたからメジャーになり強くなった 平野早矢香が感じた“スターの存在感”

福原愛さんが卓球界に与えた影響について語った【写真:松橋晶子】
福原愛さんが卓球界に与えた影響について語った【写真:松橋晶子】

愛ちゃんは「勝負勘の天才」で「努力の人」

 愛ちゃんというスターから離れて、卓球という競技全体をフラットに見てもらえるようになったように感じました。だからそこに続いていく今の選手たちは、日本代表になったら“メダルは獲るものだ”くらいに思ってやっている子が多いです。小学生でもインタビューで「将来はオリンピックで金メダルを目指します」と目標が明確で具体的。それは私が小さい頃の感覚とは全然、違いますね。

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 私は学生の頃は卓球界全体のことを考えながらやるほど、大人ではなかったですし、自分が強くなることや、日本代表になることでいっぱいいっぱいでした。15歳の時に全日本選手権ジュニアで優勝して少しずつ目指していた世界の舞台に大きく近づき、18歳の時に全日本選手権で優勝することができて、自覚や意識が大きく変わったと思います。だから日本を背負ってとか、そういう意識を持ったのは今の選手に比べれば遅い方だと思います。

 結果的に愛ちゃんの存在でジュニアの全体的な底上げがなされたのは大きかったと思います。伊藤美誠選手、平野美宇選手、早田ひな選手ら、あの世代は小学生の頃からずっと強かったですし、実際ロンドン五輪の時には伊藤・平野両選手は現地に試合を見に来ていました。

 後で聞いたのですが、当時5年生だった2人が試合を見ながら『私だったらこうする』と2人で戦術の話をしていたようです。自分が小学生だったらそんな会話はできません。彼女たちは自分がそこで戦うというイメージをしっかりと持ちながら観戦していたということです。レベルが違うなと……。それぞれの意識の高さは卓球界が変わっていく大きな要素です。

 私自身は愛ちゃんが出てきた時は、正直なところ試合をしたくないなと思いました(笑)。愛ちゃんを撮影するためのカメラが常にいて周りからも注目されるからというのが大きな理由です。愛ちゃんは私がもともと所属していたクラブチームと交流あって、よく練習にも来ていました。一緒にやるとテレビに映ってしまう(笑)。当時は注目される競技じゃなかったのでプレッシャーに感じて、テレビカメラに囲まれながら愛ちゃんと試合したくないなと思っていました。

 愛ちゃんの凄さ……運動能力とかを見ていると、愛ちゃんより上の人はたくさんいると思います。どちらかというと、愛ちゃんは勝負勘の天才。手先の感覚はとても器用ではあるけれど、すべてにおいて優れているというよりは“努力の人”。練習量をこなして積み上げた選手。全体的な卓球のセンスだけでいうと、石川佳純選手や伊藤美誠選手のほうが上だと思います。でも本当に凄い練習量をこなしていました。小さい頃は海外の試合でも、負けた後でも必ず練習していました。1000本ラリーを毎日やったりとか、私は1000本ラリーは今まで一度もしたことがありません。だからこそ愛ちゃんは小さい頃から積み上げた練習量と豊富な試合経験をもとに作り上げていった卓球だと感じています。

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