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ラグビー大学選手権は通常通り開催できるのか ベテラン記者が提案する“対応策”

「1・2」の準決勝は動かせないのか

 今季の大学選手権の大会フォーマットは6日の時点では発表されていない。予選とも位置付けられる各リーグが日程を発表しようとしている段階で、“本大会”の概要が公開されていないのは不思議だが、日本協会ではコロナ禍の中での運営を精査しているのが実情だろう。しかし取材を続ける中で、大学選手権はコロナ感染による中止以外の選択肢としては、通常通りの日程、大会方式で行われる方針であることが分かった。感染の影響があれば、大会日程や概要の変更を考えずに、潔く中止する可能性が濃厚だ。

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 このような方向性が浮上する中で強く感じるのは、ラグビーに携わる人たちであれば、もう少し柔軟性を持った対策ができないかという思いだ。現状の中で「危機的な状況下でやむを得ない」と唱えるのは受け入れられ易い主張だろう。しかし、選手たちに、大会に出場して、出来る限り憧れの舞台でプレーする機会を与えたいという観点では、検討するべきことがあるように思える。最終的には「中止」という結論に至ったとしても仕方がないような状況であるのは間違いない。だが、ラグビーに携わる人たちが公式戦開催の可能性を諦めてしまえば、その時点で選手がプレーできる可能性も断たれることになる。

 では、どのような対応策、可能性があるのだろうか。具体的には、日程および大会方式の変更だ。大学選手権を主催する日本協会が最重要視するのは、毎年1月2日に行われている同選手権準決勝と翌週の決勝戦だ。特に正月2日の準決勝は、元日のサッカー天皇杯決勝、2、3日の箱根駅伝と並ぶ正月スポーツの恒例行事として定着。ラグビーという範疇を超えた、季節の風物詩のようなイベントに定着している。その期日を動かすことは、少なくとも協会内では、いまやアンタッチャブルな案件となっている。

 日本協会は、過去に準決勝の日程問題で失態を演じている。2003年度の大学選手権は、従来の方式を大幅に変更して、2回戦で8チームを2組に分けた総当たり戦を導入した。しかし試合数の増加で準決勝を1月10日に後倒しとしたことで、多くのファンからの苦情が殺到。大会方式としては斬新なアイデアだったが、観戦者、テレビ視聴者が多い1月2日の準決勝でなくなったため、大会としても盛り上がりを欠いたものになり、この方式・日程はわずか1シーズンで撤回されることになった。

 もちろん、1月2日にNHKで長年に渡り地上波で全国に生中継されてきたことの恩恵も計り知れない。正月の特別番組としては優良コンテンツと考えているNHK側の利害を考えても、「1月2日=準決勝」は動かすことが出来ない日程なのだ。この鉄則があるために、大学選手権の日程が固定され、各地域リーグの最終戦の時期も、遡っての開幕日のデッドラインも決めざるを得ないというのが実情だ。

 しかし、個人的には、この2日の準決勝にこだわった中でも、さまざまな対策が可能なはずだ。

 もしコロナ感染の影響で各リーグ戦が中断、延期となれば、相当な非常事態と考えるべきだろう。最悪の場合は大会の中止という選択肢もあるが、日程の順延で対処できるのであれば公式戦を継続する可能性を模索するべきだろう。もし日程の変更、特に短縮の必要が生じるのなら、大学選手権出場チーム数を減らすことも考えていいはずだ。現行方式の選手権出場チーム数は14だが、例えば主要3リーグの各1位とワイルドカードのような位置づけの1チームの4チーム限定というコンパクトな大会に変更すれば、正月2日の準決勝と翌週の決勝だけで開催できる。開催期間は2週、10日以内で選手権全日程を終えることが可能なのだ。

 選手権前の各リーグ戦でも、期間短縮は可能だ。関東協会が準備しているであろう11月のトーナメント方式による順位決定も“時短”のための1案だが、各リーグ1部に参戦する8チームを4チーム2組に分けて、3試合の総当たり戦を行い、各組同順位が対戦して最終順位を決めることも可能なはずだ。この方式を使えば、全てのチームが公式戦4試合を行えることになる。

 もし、非常事態を理由に「準決勝=正月2日」という“掟”を破って大学選手権日程を動かすことが出来るのなら、可能性はさらに広がるはずだ。

 大学選手権の開催期間などについて、8月下旬から9月初頭にかけて関東大学リーグ戦1部、対抗戦A(1部)チームを率いる導者数人に話を聞いてみた。チーム側が可能だと考える大学選手権閉幕、つまり決勝戦のデッドラインについて、指導者からは「選手が望むなら、年度を超えてでも試合をさせてあげたい」という意見や「日本選手権が2007年度に3月中旬まで行われた実績がある。大学選手権も実施可能なはず」という声を聞いた。

 総じて妥当という意見が多かったのは、1月末か遅くても2月第1週での閉幕という日程だった。これは、学内試験や大学入試、4年生の退寮の時期などを踏まえた声だ。今季のカレンダーに照らし合わせると、決勝戦は来年1月30日か2月7日の日曜日となり、大会日程は3、4週間は遅らせることができそうだ。そうなれば、現在準備されている各地域リーグの開幕も、1か月近く遅らせることが可能になる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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