[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「打ちづらい球」は作れる? 話題のオンライン野球サロン4人の「ピッチング論」

「NEOREBASE」が掲げている「理想的パフォーマンスピラミッド」の図【写真提供:NEOREBASE】
「NEOREBASE」が掲げている「理想的パフォーマンスピラミッド」の図【写真提供:NEOREBASE】

怪我しない意識も大切、「2年連続で直球48%以上」で手術リスク増のデータも

――球速アップにまつわる筋力トレーニングと神経伝達は「NEOREBASE」で特に発信していることですね。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

お股ニキ「高いレベルを目指すなら、ベースの体を作って、ある程度の球速を出せるというのが大事なのは間違いない。そのメソッドはこの3人が持っていると思います。あと、解説者が『投手は球速じゃないんだ』とよく言いますが、それは分かる部分があって、投手は良いフォームでエグイ球を投げたい気持ちが強いもの。ですが、客観的に試合を見る立場からすると、根本的に一番大事なのは『抑えること』と『怪我をしないこと』。MLBのシンダーガードなどはスピードを出して力投しても回転軸があまり良くないので、空振りが大して取れないということです。平均球速と最高球速の差も低く、怪我のリスクが高いと誰でも分かる通り、怪我をしたということ。怪我をせず、長く安定して成績を残すこともこだわってほしいですね」

内田「結局、野球は指から離れた先の勝負なので。ボクシングみたいに体同士の接触じゃなく、投げたボールの勝負。そこまでこだわらないといけない。それがやっぱり誰よりも早く理解して、体現できている日本人はダルビッシュ投手かなと思います」

お股ニキ「ダルビッシュ投手が日本人で歴代トップのエグイ球を投げているのは間違いないです。でも、MLBではそれだけではトップに肩は並べられても超えられないと感じているから、いろんなことを考えて工夫していると思います。回転軸の理屈も、ほぼすべて理解しているから『こういう変化させるにはこういう回転が必要だ』と頭でイメージして、それを再現するための握りを考えて、あとはその通りにリリースすればできる、と。『打ちづらい球』を作るために自分で調整できる投手だと思います」

内田「その能力は本当に凄いですね。こういう回転で、こういう軸で、こういう効率で……といくら理想を描いても、実際に投げるのは人間なので凄く難しい。でも、ダルビッシュ投手の再現性の高さはとてつもない次元じゃないでしょうか」

――話にあったように、いくら良い球を投げても怪我をしては元も子もありません。「怪我をしない投げ方」についてはどう考えていますか?

小山田「『パフォーマンス・ピラミッド』(写真参照)を理解することが根本的に必要だと思います。『怪我しない投げ方』を身につける前に『怪我しない体』を作らないといけないというのが、共通の理解。これは庄村さん(楽天のS&Cコーチ)から教わり、感銘を受けたことなのですが、今の時代はケアの方法、エクササイズについての『What(何を)』や『How(どうやって)』の部分はSNS上でたくさん上がっているので、みんな知っています。ただ、『Why(なぜやるのか)』を理解しないと、結局は続かないもの。『なぜ、必要なのか』を理解すること必要だと思います」

お股ニキ「怪我を100%しないことはあり得ないですが、怪我しにくいフォームはあるはず。それは池田さん、小山田さんが詳しいと思います。自分はストレートの質にこだわって見ていますが、ストレートの質が悪くて、スピードを出してしまう人は怪我をしやすい。なぜかというと、ストレートで打たれてしまう。残念ながら、ストレートが一番打たれるボールなんです。打者が一番にイメージしているし、慣れているから。それで打者を抑え込もうと、ますます力んでしまう。ストレートの割合が48%以上で2年連続投げるとトミー・ジョン手術のリスクが上がるというデータもあります。ストレートの質を高める一方で、正しいフォームで怪我しにくくして、変化球を覚えること。そうすることで打たれにくくなり、球数も減り、力まずに投げることにつながります」

内田「ストレートを48%以上で2年連続……というデータは凄く興味深いですね」

お股ニキ「変化球が肘に悪いと思われがちですけど、実はストレートが一番悪いような気がしています」

小山田「それは思います。ストレートの方が肘にストレスが多いと思います。自分も靱帯を切れたのはストレートを投げた時でした」

内田「自分もそう思いますね」

お股ニキ「選手も葛藤はあると思います。やっぱり良い球を投げたいし、ストレートで勝負したい気持ちがどこかにあるもの。その上で怪我を減らすこと、打者を抑えることのバランスを考えると、ストレートの割合を徐々に減らし、打ちにくい変化球と組み合わせることがどうしても必要になると思います。MLBのシャーザー、カーショー、バーランダーといった投手は、みんな凄いストレートを投げるのですが、みんなストレートの割合をどんどん減らしています。バランスが難しいですが、全球種の投げ方をしっかりと理解して、そういう感じでやれるといいのかなと思います。ストレートを40%台前半に下げると、イメージとしてはいいかもしれません。変化球ばかり投げても張られるので、もちろんバランスが重要ですが」

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集