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阪神を足から変えた“走りのプロ”の革命 選手も驚き「もう10年早く知りたかった」


「今からでも走りは変えられます」と力説する秋本氏【写真:編集部】

「走り方次第で怪我はなくなる」…走りの見直しで野球界全体のレベルアップも

 以前、走塁中に故障した投手に「もう全然、痛くならないです」という声を耳にした。投手陣だけではない。鳥谷には「守備位置までのダッシュに疲れを感じなくなった」と言われ、日米で活躍してきた大ベテラン・福留孝介には「もう10年早く、この内容を知りたかった」と言われた。実際に変化を感じた選手の言葉が、効果の大きさを物語っていた。

「肉離れしないフォームを作ることの価値は大きな発見でした。世間からは“足を速くする職業”をそういう目で見られない。でも、自分自身は現役時代にフォームが原因で何回も肉離れして気づいていた。だからこそ、走り方で怪我はなくなるということは今後も打ち出していきたい。そういう変化は感じました」

 今月6日には再び、大阪に出向き、阪神の2軍選手のフォームチェック。そして、CSを控える1軍選手に対しては、実践的な指導も行った。就任当初、「陸上選手に盗塁の何がわかるんだ」「赤星を呼んで指導させた方がいい」などと厳しいファンの声も聞こえてきたが、今、1年間をこう振り返る。

「絶対に足を速くして、怪我人をなくして、野球に生かしてやろうと思っていました。1年前の秋季キャンプから始まり、年間を通して関わって、成果が出たことはうれしい。ただ、それもCSの結果次第。機動力を発揮して勝ってくれたら、いっそううれしいですね」

 今年、阪神で革命的な指導で実証したように、野球の基本となる走りが球界全体で見直されれば、故障が減ってレベル向上につながる。国際舞台において機動力を生かしたスモールベースボールがより強力な武器になる可能性だってある。「足を速くする。でも、怪我はさせない。その2つに関しては自信があります」と言った上で、秋本氏は言葉に力を込めた。

「若いうちにやらないとダメじゃない。自分は100メートルの自己ベストを出したのは27歳で、34歳まで10秒台で走っていた。年齢に関係なく、走りの技術を磨けば速く走れる。もう足は諦めて打撃だけで生きていこうと思う選手がいるとするなら、そういう選手に対して、引き出しを作っていきたい。選手の皆さんに言いたいです。今からでも走りは変えられます、って」

【了】

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer


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秋本 真吾

プロスプリントコーチ

1982年4月7日生まれ。福島県出身。双葉高(福島)を経て、国際武道大―同大学院。400メートル障害で五輪強化指定選手選出。200メートル障害アジア最高記録(当時)樹立。現在は伊藤友広氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、全国のかけっこ教室で延べ7万人を指導。また、延べ500人以上のトップアスリートも指導し、これまでに内川聖一(ヤクルト)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)、神野大地(プロランナー)ら。チームでは阪神タイガース、INAC神戸、サッカーカンボジア代表など。
http://001sprint.com/

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