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最速150kmを投げる自分が実験台 元早実エースが歩む「投球戦略家」という第二の人生

早実時代は甲子園に出場し、マウンドを踏んだ【写真:本人提供】
早実時代は甲子園に出場し、マウンドを踏んだ【写真:本人提供】

ケガをせずに球速アップ、経験を駆使した唯一無二の指導法とは

 内田が芯に置く最大の指導テーマは「球を速くする」「肩を強くする」こと。さらに、これをケガをせずに実現させることだ。この大目標から「どうしたら打ちづらい球を投げられるか」に派生していく。しかし、野球界には球速を上げようとパワーアップを図り、無理を強いてケガをする選手もいる。内田も早大3年時に右肘痛を発症し、思うように投げられない過去があった。

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「自分自身も球が速くなって、そのまま順調にいくのかなと思ったらケガをしてしまった。球が速くなった時に、うまくなったのにケガをしたら意味がない。そこは両立させないといけない」

 社会人のJX-ENEOS時代に再起を期したが、2年目の17年オフに戦力外通告。社業として天然ガスの営業マンで働きながら、試行錯誤の末に150キロの豪速球を蘇らせるに至った。19年2月には有給休暇を使って米トライアウトに挑戦し、合格を掴み取った。結果的に米挑戦にも区切りをつけたが、ケガからの復活ロードを歩んだ経験が今の強みとなっている。

 経験を駆使して伝えるのは、球速アップとケガをしないことの両立。これには体の土台を利用するという。ウェートトレーニングやケアだけでなく、ムーブメント、柔軟性、可動域、体幹、流動性、モビリティーなど、自身が吸収した知識を統合。合わせて打者を抑えるために大切なコントロール、変化球も教え、「やりながら勉強させてもらっている」と最適解を持って伝えている。

 選手時代にぶつけた時間を指導者としての向上に費やす。内田の言葉が熱を帯びた。

「野球に限らずどうやって自分の体を思うように動かせるのか。今まで動かせなかった部分を動かせるようになってパフォーマンスを出せるようになった。自分自身まだまだですけど、そこでくすぶっている選手、眠っている選手がいると思うので、そこを引き出せるように。

 他ではなかなかできていないんじゃないかなと自負しています。例えばラプソードはそもそも持っている人が少ないですし、ピッチングには技術、フォームなど体の部分、さらにパワー、トレーニング(方法)、柔軟性、身体操作がある。今まで(の指導は)それぞれ分かれていたと思うんですけど、これをまとめないとピッチングにならない。

 これをしっかり融合させて指導ができている人は意外といないんです。だから、データでダメな部分を出して紐解いていく。パートごとだと選手がわからなくなってしまうので、各パートごとではなくトータルで伝えています。自分はトレーナーの資格を持っているわけではないので、今は人に頼りながらですが、体についてまだまだ勉強しないといけない」

 従来は分かれていた「技術」と「体」の指導を一括でできる内田流のピッチング・ストラテジスト。さらに絶対的な武器は、今でも目の前で150キロ近い剛速球を投げられることだ。最速150キロを投げるトレーナーなんて、そうはいない。選手に強烈なインパクトを与え、最大級の説得力を発揮する。

「ケガをしたから自分自身が速い球を投げられるようになった。今の時代は150キロが速いかどうかわからないけど、ケガからまた150キロを投げられるようになったし、そこに至るまでの過程があった。ただ寝て起きて速くなったわけではなく、努力をしたつもりです。この努力した部分を経験談として伝えていけるのは強みかなと思います」

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