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日本が韓国のライバルになった日 「アジアで最もテクニカルなチームに変貌した」

日本にとっての「ドーハの悲劇」は、韓国にとって「ドーハの奇跡」

 日本がW杯予選で韓国に勝ったのは、これが初めてだった。両国ともに最終戦を残す時点で立場は逆転。首位に浮上した日本は、イラクに勝てば本大会への出場権を得られることになった。

「もう完全にダメだと思いました。日本は韓国に勝ったくらいだから、当然イラクにも勝つと思っていました。だから結果を聞いた時は、本当に奇跡が起こったと思いました」

 優位な立場にあった日本は、最終戦の土壇場でイラクに2-2の引き分けに持ち込まれ、W杯出場圏外の3位に転落。北朝鮮に3-0で勝利した韓国が得失点差で2位に浮上した。日本にとっての「ドーハの悲劇」は、韓国にとって「ドーハの奇跡」だった。

 もっとも日本戦の敗戦に打ちひしがれたホン・ミョンボは当時、「次に日本に負けたら、もう引退する」と発言したと報道された。

「正確に言います。あれは、次に負けたら引退するくらいの覚悟で臨みます、と話したんです。それからは私が出場した日本戦では負けなかったので、幸い引退しなくて済みましたけどね(笑)」

 やがてJリーグにも参戦し、ベルマーレ平塚と柏レイソルでプレー。4度のW杯に出場し活躍することになった。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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