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世界で通用する選手とは? G大阪アカデミーが取り組む「人としての成長」への投資

クラブと学校が提携することで学業、食事、睡眠も充実

 欧州プロクラブの育成アカデミーに、学業や人間形成プログラムを疎かにするところはない。プロ選手を目指すという子供たちだからといって、サッカーだけをやっていれば大丈夫ということはないのだ。人としての成長は、欠かすことができない大事なテーマ。そこへの取り組みによる日常の変化は、少しずつ感じられるようになったそうだ。

「例えばですけど、先生が練習や試合を見に来てくれたりしました。それぞれの選手のためにクラブと学校とが関わることで、より多くの人が支えようとしてくれているのを、選手・保護者が十分に感じたのではないかなと思っています。学校と提携しなかった時代では全く分からなかった。担任の先生も知りませんでした。そういう時代でしたね」

 プロの育成アカデミーにいる選手みんなが、プロ選手になれるわけではない。なれるのはほんの一握り。でも選手はみんな自分の夢を叶えるために、ハードワークをして犠牲を払って懸命に生きている。そんな選手たちに対して、本当にクラブは最高の環境を提供できているのかどうか。それにプロになれないから、それでおしまいなどあってはならない。たとえプロサッカー選手になれなかったとしても、社会に出て活躍する人材を育成するという視点は必要不可欠なものだった。

「学習時間の確保もしなきゃならないですし、早い時間に食事もとらさないといけない。睡眠時間も大事です。学校と提携して寮を設置して、選手たちを夜型サイクルから昼型サイクルへと移行させて、時間をもっと有効に使えるようにして、豊かな生活を可能にして、クラブと学校が一体となって全人教育をしていきたいというのがビジョンでした」

 今でこそJリーグの下部組織で、サッカーと学校と日常生活とのバランスを考えた取り組みは当たり前になってきているかもしれない。何事もやればやるほど、良くなるわけではない。負荷と休養のバランスは、トレーニングや試合においてだけ気をつければいいわけではない。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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