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箱根駅伝に4年ぶり出場、大東大を変えた6か月 真名子圭監督が重視した「その場の5秒」

「愛される選手になれ」と指導する真意

――実際にそうすることで、学生たちに大きな変化が起きたのでしょうか。

「すごく変わりましたね。もちろん、僕が見ていないところでは違った部分があるのかもしれないですけど、まずは見られているからちゃんとやらなきゃっていうところがキッカケになって、僕の前ではしっかりやれるようになりました。でも、それだけじゃダメ。大学生になったら、それを主体的に自らやっていかないといけないと言っています」

 真名子監督は、大東文化大の陸上競技部男子長距離ブロックの監督に就任する前は、仙台育英高の陸上競技部を指導していた。2019年の都大路(全国高校駅伝)で優勝を果たし、吉居大和(中央大/3年)を輩出するなど育成でも高い評価を得ていた。

 長らく高校生を指導してきた真名子監督だが、大学生と向き合うなかで指導面での違いはあるのだろうか。

――高校と大学で、指導の違いはありますか。

「高校での指導は時間が足りないので、やれることは限られています。そこで技術を求めても逆に何も身につかない可能性があるので、人間性という部分にフォーカスし、挨拶を含めてそういう指導に8割をつぎ込んで、残り2割で練習をしている感じでした」

――高校時代、生徒にどういう言葉をかけて指導していたのですか。

「みんなに言っていたのは、とにかく愛される選手になりなさいということです。自分の評価は他人がするもの。だから周囲に、人に愛されないとダメなんです。愛される選手になるためにどうしたらいいのか。例えば、『君のことを応援したいと言っている人が横を通った時、素通りするのと、いつもありがとうございますと言うのでは、君はどう思う?』と聞くんです。生徒は『後者のほうが良い印象を受けます』と言うので、『では、それをやろう』と何回も何回も繰り返し言っていました」

――大学でも人間性重視の指導に変化はありませんか。

「大学でも基本的な人間教育という面では変わらないです。ただ、高校生は引き出しがないので、そこは考えないといけないですね。よく個人を尊重して個性を活かしてあげたいから自由にやらせるという指導者がいるじゃないですか。それは素晴らしいんですが、何も考えがない子、道を分からない子にそういう指導をしても行く場がなくなるだけなんです。僕はそれを教えるのが高校だと思うんです。それを学んだ高校生が、大学でそれを発展させていくのが大学4年間でやるべきことだと思っています」

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真名子 圭

大東文化大 陸上競技部 男子長距離ブロック監督 
1978年生まれ、三重県出身。選手時代は大東文化大で箱根駅伝に4年連続で出場し、4年時には10区で区間賞の走りを見せた。本田技研(現・Honda)で競技生活を終えると、三重での高校教員を経て2012年に仙台育英高に赴任。陸上競技部長距離男子の監督としてチームを強化し、19年の全国高校駅伝で優勝した。今年4月、低迷していた母校に戻ると全日本大学駅伝、箱根駅伝と本戦出場に導いている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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