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福士加代子から「学ばせてもらった」 五輪で4度“共闘”の恩師、感謝とともに抱く悔い

リオ五輪の女子マラソン代表になるまでの厳しい日々

 3年9か月ぶりとなったマラソン(シカゴ)で3位、13年の大阪国際女子マラソンで初優勝を果たすと、16年でも同レースで優勝し、リオデジャネイロ五輪の女子マラソン代表の座を射止めた。だが、そこに至るには監督と選手の衝突を含め、厳しい日々が続いた。

「トラックの時は、勝てていたので衝突はなかったんですが、マラソンは彼女の得意種目ではないですし、周囲の期待も大きいじゃないですか。五輪に向かって厳しい練習をやらないといけないのですが、それができないとすごく苛立ってしまうんです。私に当たりたいけど、面と向かってそれはできない。けっこうバチバチして、バトっていましたね」

 永山氏は当時を思い出したかのように苦笑して、そう語る。そういう時は、どのように絡まった糸をほぐしていったのだろうか。

「福士くんにはチームがあるんですよ。私以外にランニングコーチ、トレーナー、栄養士がいて、そのスタッフが僕らの間に入ってくれて次の練習の時には私と福士くんが普通に会話できる環境作りをしてくれていました。だから、スタッフは大変だったと思います」

 福士は執念を見せ、リオ五輪で女子マラソン代表となり、2時間24分19秒で14位という成績を収めた。永山氏は、五輪に向けて消耗し、年齢的(34歳)にも福士はこれで引退だろうと思っていた。

「次(東京五輪)もやりますというので、『えっ』と思いましたね。驚きましたが自分の体に鞭を打って頑張るという決意をしたので、東京への準備を進めていきました。MGCがダメで最後、2020年の名古屋ウイメンズに出場したのですが、その時、1、2、3位を独占しようと思っていました。実際、一山(麻緒)くんが1位、安藤(友香)くんが2位になったんですが、福士くんは30キロ過ぎで途中棄権してしまった。彼女を大会直前のアルバカーキの合宿で見てあげることができなくて、本当に申し訳ない気持ちでした」

 福士は2022年1月の大阪ハーフマラソンをもって現役を引退した。

「引退時は、お疲れさんと言葉をかけさせてもらいました。私は、福士くんからいろんなことを学ばせてもらいましたからね。これまで4回の五輪は毎回怪我で苦しみ、結果を出させてあげられなかった。彼女の分も、次の五輪では一山くんにいい結果をプレゼントできたらと思っています」

【第1回】福士加代子、一山麻緒を輝かせた「裏方の経験」 五輪に5度導いた名将が貫くこだわり

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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永山 忠幸

資生堂ランニングクラブ 専任コーチ 
1959年生まれ、熊本県出身。東京農業大時代に4年連続で箱根駅伝に出場。2000年にワコールの監督に就任すると、福士加代子の才能を見出し、長距離走とマラソンで2004年から4大会連続で五輪出場に導いた。東京五輪の女子マラソン8位入賞の一山麻緒も指導し、今年4月に揃って資生堂へ移籍。専任コーチとして、24年パリ五輪出場を目指している。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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