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箱根駅伝の勢力図を変える新興勢力 躍進の東京国際大、選手獲得で重視することは?

スカウティング戦略を語る大志田監督【写真:編集部】
スカウティング戦略を語る大志田監督【写真:編集部】

伝統的な強豪校が動くと「新興チームは出遅れることがある」

――スカウティングで難しさを感じたりすることはありますか?

「うちは新興チームなので駒大や青学大のように一気にすごい人材が集まってくるわけではありません。原監督がMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)で大会を開きましたが、歴史がある大学がスポーツの強化を前面に押し出して勧誘したり、伝統的な強豪校が動くと、私たちのような新興チームは後回しになったり、出遅れてしまうことがあります。

 ただ、最近は箱根駅伝に出続けていること、上位に入れるようになってきたことは大きいですね。高校生にとっては判断の材料になっていると思いますし、うちのポリシーとして2年後、3年後を見据えて指導していますというのを、ようやく高校の指導者や父兄に理解されてきたので良い選手が来てくれるようになりました」

 今、箱根駅伝は全体の勢力図が変わりつつある。スカウティングも伝統校、強豪校に選手が集中していた時代から東京国際大のように箱根で上位を維持する新興チームに高校生たちの視線が向くようになった。選手の分散化は、これからさらに進んでいくだろう。

 出雲駅伝に勝ち、知名度を上げたことは、東京国際大のこれからのスカウティング戦略にプラスの効果となって表れてきそうだ。

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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大志田秀次(東京国際大学駅伝部監督)


1962年生まれ、岩手県出身。選手時代は中央大学で箱根駅伝を走り、4年時には8区で区間賞。卒業後は本田技研に進み、86年アジア大会1500mで金メダルを獲得した。引退後は指導者の道に進み、2011年から東京国際大学駅伝部の監督に就任。創部5年目の16年箱根駅伝に初出場、20年に総合5位と短期間でチームを躍進させた。今季も勢いは止まらず、10月の出雲駅伝で初出場初優勝の快挙、11月の全日本大学駅伝でも5位に入った。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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