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日本代表10番を育てた40年前の「ノーコーチング」 子供を“教えない”極意とは

浜本の教えを体現した、木村和司の“ちゃぶる”プレー

 逆に浜本は30年以上前から「何もかも全てを教えるのではなく、自主性、個性を大切にして、自分で考え、自分で決定し、子供たちが勇気を持ってプレーできる指導へ」と舵を切ることを提唱し、試合が始まれば指導者にも父兄にも「ノーコーチング」を徹底してきた。

 そしてまさに浜本の指導を見事に反映し、大成したのが日本代表でも10番を背負った木村だった。

 大河FCの後輩に当たる畑が監督を務める広島観音高校(当時)が全国高校選手権への出場を果たした際に、木村は選手たちに向けて挨拶をした。

「みんな、サッカーをしていて何が楽しい?」

 試合に勝つこと、ゴールを決めること……など様々な答えが出た。木村はニヤリと笑って話し始めた。

「ワシは、ピッチの中で相手をちゃぶる(翻弄する)ことだな。相手の嫌なことを見つけて、そこを突く。普段やったら苛めになるけど、ピッチの上では許される」

 思えば、木村のサッカーは、相手の裏をかくことがテーマだったかもしれない。それを観る側はファンタジーと称賛した。

 浜本の脳裏には、小学生時代の木村のエピソードがしっかりと刻み込まれている。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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