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「冷静さを育てるのは環境」 “皇帝”ベッケンバウアーの言葉が示す日本の強み

フランツ・ベッケンバウアーは、ヨハン・クライフとともに20世紀の欧州を代表する名手で、キャプテンでも監督でもワールドカップを掲げている。かつて最終ラインの後ろに一人余るスイーパーという役割があったが、ベッケンバウアーは、その位置から自由に攻撃を構築し「リベロ」へと進化させた。現在ドイツでも絶賛されている長谷部誠の元祖ともいうべき存在で、常に背筋を伸ばして全体を見渡し、ゲームをコントロールしていくスタイルで「カイザー(皇帝)」と呼ばれた。

ベッケンバウアーは冷静さは環境によるものが大きいと説いた【写真:Getty Images】
ベッケンバウアーは冷静さは環境によるものが大きいと説いた【写真:Getty Images】

ドイツの皇帝がメンタルの重要性

「冷静にプレーするのは非常に重要なことだ。だから私は自分でそうあろうと極力務めてきたんだ」(フランツ・ベッケンバウアー)

 フランツ・ベッケンバウアーは、ヨハン・クライフとともに20世紀の欧州を代表する名手で、キャプテンでも監督でもワールドカップを掲げている。かつて最終ラインの後ろに一人余るスイーパーという役割があったが、ベッケンバウアーは、その位置から自由に攻撃を構築し「リベロ」へと進化させた。現在ドイツでも絶賛されている長谷部誠の元祖ともいうべき存在で、常に背筋を伸ばして全体を見渡し、ゲームをコントロールしていくスタイルで「カイザー(皇帝)」と呼ばれた。

「冷静にプレーするというのは、非常に重要なことで、自分でもそうあろうと極力務めて来た。カッとなってプレーをすると、状況判断も鈍るしミスも出易くなる」

 ベッケンバウアーにインタビューをしたのは、1993年、Jリーグが開幕して間もない頃だった。ただし、とカイザーは加えた。

「私だって人間だ。いつもクールで自信に満ちていたわけではない。試合中にカッとなることもあった。もし私のことを、いつもクールで自信に満ちていると捉えるなら、それは私の一部しかご覧になっていないのではないかな」

 実際にベッケンバウアーと一緒にゴルフをラウンドした通訳の山内直氏によれば「どうしてこんなところに木があるんだ」と立腹することもあり、皇帝の素顔が微笑ましかったという。

「おそらくこの冷静さは、トレーニングによって獲得できたものではなく、自分が育ってきた環境や性格によるものだと思うよ」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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