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「冷静さを育てるのは環境」 “皇帝”ベッケンバウアーの言葉が示す日本の強み

ドイツと“アジアのプロイセン”日本にある共通性

 ドイツは日本以上に規律に厳しい国だ。まったくクルマが見当たらなくても、赤信号で渡る人はいないし、無賃乗車が発覚した場合の罰金も厳格だ。そういう土壌があり、最後の最後まで冷静に闘い抜く伝統が引き継がれているとすれば、それはドイツ人が「アジアのプロイセン」と呼ぶ日本も共有する特徴なのかもしれない。

 アジアカップの準決勝で、イランとの明暗を分けたのもメンタルコントロールだった。逆境でのメンタルコントロールに難があった米国育ちの大坂なおみが、ドイツ人のサーシャ・バインをコーチに迎えたのも実に理に適ったことだったに違いない。

 晩年のベッケンバウアーは、新設された北米リーグに参戦。だがペレ、クライフらスーパースターを集めて華々しく脚光を浴びたリーグは、瞬く間に衰退していった。

「しかし米国と日本の状況は比べられない。北米リーグは底辺のないところに、突然トップの選手たちを連れて来た。でも日本では、今までもサッカーリーグがあったし、たくさんの子供たちもプレーしてきた。そういう土壌があるんだから、必ず成功するよ」

 Jリーグ創設当時の皇帝の予言である。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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