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ベンチからの指示は「選手の判断を奪う」 “押しつけ”ではない議論できる部活へ

佐藤実監督【写真:加部究】
佐藤実監督【写真:加部究】

伝統のスタイルではなく「毎年選手たちが醸す色に染まる」

 むしろ最近は、就職戦線で注目を集めるようになったという。かつては理不尽に耐えて一つのことに取り組んだ体育会系の人間が、打たれ強いと高く評価された。だが黙って指示待ちのコマが重用される時代は終わっている。物事を建設的に考え、発信できる人間こそが求められるようになった。

「ここで生徒と接していて、コイツ、本当に大人だな、と感心することが何度もあります。逆に選手と向き合うことで、僕自身が学ばせてもらっていることが凄く多い。大切なのは、武器を持たせて世の中に送り出してあげることだと思うんです。かつてはあまりモノを言わず扱い易いのが良い子でしたが、これからたくさんの外国人が入って来る次の世代は、これでは厳しい」

 佐藤は続けた。

「『昔はこうだった…』は、今の子供たちにはピンと来なくなっている。僕らは5年後10年後、部活を通して上司に意見を言えて、会議でしっかりと議論ができる力も養っているつもりです。もちろん結果は凄く大事です。でも社会に出た時に、武器やスキルを持ち、こんな仕事ができる。そういう人間を送り出す方が重要かな、とも考えています」

 近年の堀越サッカー部には伝統のスタイルがない。毎年リーダーが代わり、そのリーダーの色に染まっていく。

「マニアみたいに細かくサッカーにこだわる子もいれば、気合いで持って行こうとする子もいる。結局チームは、毎年選手たちが醸す色に染まっていくんです」

 最近は、ボトムアップという言葉も使わなくなったそうだ。

「これが僕らの自然な形ですから」

 そう言って佐藤は、すでにリーダー主導でトレーニングが始まっている新装のグラウンドへと飛び出して行った。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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