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「日本のスポーツ文化は貧しい」 “革命家”サッカー人が目指す、誰もが幸せになれるクラブの姿

2020年2月、FC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一は、58年の歴史を持つ市川SCと業務提携を行い、将来のJリーグ参入を目指していくことを発表した。

FC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一【写真:編集部】
FC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一【写真:編集部】

【幸野健一が挑む日本のスポーツ文化改革|第1回】サッカーの母国で気付かされた文化的背景の違い

 2020年2月、FC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一は、58年の歴史を持つ市川SCと業務提携を行い、将来のJリーグ参入を目指していくことを発表した。

 FC市川GUNNERSは、2014年に幸野が「アーセナルサッカースクール市川」として起ち上げ、過去5年間で在籍者を400人近くまで増やして来た総合型を視野に入れたスポーツクラブである。全国には「Jリーグを目指す」クラブが数多く生まれているが、こうして自前のピッチやクラブハウスを整えてから出発したケースは珍しい。

 幸野がまずハード面を整備したのには理由がある。

「例えば海外から友だちが来てサッカーをすることになったとします。日本ではシャワーも更衣室もない河川敷のグラウンドへ連れて行くことになる。最近では女子も盛んになってきているのに、どこで着替えるのでしょうか。欧州ではクラブハウスがあり、そこに人が集うから文化が醸造されクラブが生き続けていく。日本のように形のないクラブでは、ホスピタリティーも発揮できないし、文化も宿っていかない」

 17歳でイングランドへ渡り、現在プレミアリーグに属するクラブの下部組織でプレーをした。まだアマチュア時代の日本にとって最高峰を競うワールドカップは遥か彼方。ちょうど同じ頃に開催されたアルゼンチン・ワールドカップ(1978年)の大陸予選に参加した日本代表は、グループリーグで1点も奪えず1分3敗で敗退していた。

 サッカーの母国に来てみて、幸野は彼我の最大の違いがどこにあるのか考えた。

「最初は欧州には凄いトレーニング方法があるのかと思っていた。でも早い段階で気づいたんです」

 実際その後約40年間で43カ国を巡ってみて、それは確信に変わった。

「一番の違いは文化的背景です。海外では国民がスポーツとともに幸せに暮らしている。子供の頃に好きになった種目を死ぬまで楽しみ、家族3世代で試合観戦に出かけるケースもある。ところが日本は一見経済大国になれたようでも、スポーツ、芸術、文化に焦点を当てると本当に貧しい状況にある」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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