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バドミントン素人監督の挑戦 「当たればラッキー」と言われた弱小県が変わった理由

技術指導できない弱みを強みに…徹底した礼節と“その気”にさせる声かけ

指導に当たって、武末監督が最も力を入れたこととは【写真:荒川祐史】
指導に当たって、武末監督が最も力を入れたこととは【写真:荒川祐史】

 最も力を入れたのは、礼節の徹底だった。挨拶、掃除といった日常生活の規律を求めた。「バドミントンが強いだけではなく、周りから応援させるような人間になること。生活全体を見て、人として魅力ある選手になってほしい。宮崎には少なかったけど、九州の強いチームはやっている。それくらいは真似をして恥をかかせないように」と振り返る。

 バドミントンの能力には一見、直結しないように思える。その裏に、一つの狙いがあった。

「選手出身なら『俺がやるのを見ろ』と言えるけど、自分は技術指導ができない。だから、自分でできる仕事で一番大事と思っていたのは、彼らの環境を設定してあげること」。そう思い、監督自身が動いていた。県外の強豪校監督と知り合うきっかけがあれば、積極的に足を運び、名刺を配り、合同練習のお願いをした。ここで「選手たちの質」が問われると思ったのだ。

「強い学校の先生たちと仲良くなり、一緒に練習させてもらうためには、力が弱くても礼儀正しかったり、誰からも応援されるチームだったりすれば、受け入れてくれるだろうと。その積み重ねでした」。渡邊が卒業し、チーム力も落ちた。全国を経験したとはいえ、当時はまだ新鋭校。「魅力ある選手」であることが、選手自身の成長の可能性を広げる。そう信じ、監督自身も奔走した。

 試合中の指導も、未経験らしさを生かした。相手ベンチから監督が技術的なアドバイスを言っているのが聞こえても、自分には言えない。もどかしさを感じながらも、割り切った。「柔道だってスポーツだから。精神的な部分からメンタルをコントロールすることはできる」。だから、選手を“その気”にさせる声かけにこだわった。

「彼らを“勘違い”させてあげることかな。例えば、負けている展開でも『相手のミスで生まれる点数もあるし、先輩たちだってこういう状況があった。ひっくり返して逆転し、勝ったのを何回も見てきたから安心しろ』って。時には点を獲って『よっしゃ!』って大袈裟に喜んであげる。気持ちが弱い選手ほど僕の方を見る。逆効果になる選手もいるから、生徒のタイプを見ながらね」

 全国大会に行けば、自分たちより体格が大きい学校が多い。今も体育館はバレー部、バスケ部との併用が多く、1日にコートを4面しか取れない日もある。強豪校としては恵まれない環境。それでも、競技を経験したことがない自分が、選手のためになれることは何か。その意識で「成長できる環境」と「選手のその気」作りに心血を注ぎ、地道な積み重ねで、全国常連校に育て上げた。

 インターハイは団体戦で17年から2年連続4強と、今や全国から一目置かれる存在になった。予期せぬバドミントンとの出会いから、捧げた長年の強化。心の底で支えていたのは「宮崎県をもっと強くしたい」という想いだった。

「宮崎を強くするためには県外に出すのではなく、強い子たちがあのチーム、学校に行きたいと憧れられるチームを作りたかった。小中学生が選手を見て、かっこいいと思われるチームでありたい。昔は県外に出ていくこともあったと聞いている。だけど、私立の強みは先生が公立のように異動もなく、長年勤められること。だから、やれることもあると思っていたんです」

 情熱は、結実した。何より、今、体育館で汗を流す選手たちの姿が、その証明である。彼らの言葉から、日章学園の強さが見えてくる。

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