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サニブラウンの“一歩”はなぜ伸びた? 圧勝の裏で「6cmの進化」を生んだ20歳の成長

筋力と技術を手にしたサニブラウンは「ワールドクラスに近づいている」

「これまで日本人選手は体を大きくするアプローチを取る選手は少なかったです。近年の短距離選手は成功しなかった例が多いことも影響している。それは筋肉自体を大きくしても、走りに直結させられないケースが多いからです。山縣亮太選手はそんな中でうまく行っている例の1人かもしれませんが、日本人は体を大きくするより、技術を伸ばすアプローチが一般的です」

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 肉体的に恵まれた海外選手であっても、筋力の強さだけでは世界で戦えないという。

「海外選手でも、“体だけ大きい選手”はいます。しかし、米国、ジャマイカなどの強豪国になると、大きい上にテクニックを持っています。サニブラウン選手も高校生の頃は足の接地が前にずれ気味になり、引っ張り込んで走らなければなりませんでしたが、今は真っすぐに接地し、ロスも少ない。

 加えて、足をお尻まで跳ね上げるようなこともなく、低い足の軌道で回転させているのが、彼の特徴。サニブラウン選手の場合、効率的な走りにつなげています。そうした面で考えると、サニブラウン選手も体格、テクニックの面からいっても、ワールドクラスに近づいているといえます。9秒9の前半、また世界陸上での決勝進出も十分にあると思います」

 一方で桐生は10秒16で2位に敗れた。サニブラウンとの「0秒14」の差は、どこから生まれたのか。

「予選、準決勝の走りを絶好調の時と比較すると、そこまで良い状態ではなかったように見えます。そこに原因があるかもしれませんが、そんな中でも決勝でいい反応、飛び出しを見せました。今までの日本選手権では状態は良くても結果が付いてこないこともありました。重圧のかかる状況で現状の力を発揮出来たことは良い収穫ではないでしょうか」

 結果こそ、現日本記録保持者の圧勝となったが、“サニブラウン1強”時代の突入かといえば、早計という。

「桐生選手に限らず、小池選手も準決勝からいい走りをし、飯塚選手も持ち味の後半の強さを出して4位に入りました。5位の多田選手、今回出場できなかった山縣選手も含め、サニブラウン以外の選手も9秒台を次々に出していく可能性もあります。一方でサニブラウン選手も同じくらい伸びしろがあります。いかにそれぞれがレースで完璧に走れるか次第だと思います」

 空前の注目を集めた最強100メートル決戦。サニブラウンの強さとともに、今後に期待が膨らむものとなった。

(THE ANSWER編集部)

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伊藤 友広

元陸上五輪代表

国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)。

1982年8月16日生まれ。秋田県出身。国際陸上競技連盟公認指導者(キッズ・ユース対象)。大曲高(秋田)で国体少年男子A400メートル優勝。アジアジュニア選手権400メートル5位、同1600メートルリレーはアンカーで優勝。国体成年男子400メートル優勝。卒業後は法大に進学。04年アテネ五輪男子1600メートルリレーの第3走者として日本歴代最高の4位入賞に貢献。現在は秋本真吾氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。
http://001sprint.com/

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