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各校ランナーの疲れは「頭の位置」で分かる? 箱根駅伝「フィジカル的TV観戦ガイド」

選手の調子は「頭の位置」で分かる? 解説者の「よく絞れていますね」の言葉は…

 一方、解説のなかで「よく絞れていますね」と言われる選手は、余計な脂肪や筋肉をそぎ落とせているため、スピードも上がっている可能性が高い。ただし、体重を軽くするためにそぎ落としているのは車で言うガソリン。厳しいダイエットで極端に体重が落ちると、今度はガス欠を起こしやすくなります。

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 箱根を走っている最中に使われるガソリンは、前日までに食べたものも含まれます。それらは筋肉や肝臓などの“予備タンク”に蓄えられ、走っている時に体を動かすエネルギーに転換されます。予備タンクの容量は個人差があるので、レースに備え、選手個々にベストの状態を見極めることも必要。昔は「体重は軽いほどいい」という考え方から、レースの前もごはんを食べずに臨み、ガス欠になる選手が多かったようです。

 また、テレビ中継を見ていても、ペースが上がったり落ちたりというのは、なかなかわかりにくいですよね。疲れてきたな、いい調子だなと見るポイントも色々ありますが、わかりやすいのは頭の位置です。

 体幹がしっかりできているランナーは、頭がぶれません。カメラマンに聞いてみると、そういう選手はスピードが出ていても、顔がぶれないので撮りやすい、と言います。一方、体幹ができていない、あるいは疲れが出てくると、頭の位置が左右にぶれたり、上下したりします。また、蹴り上げた足の位置もペースを見るポイントです。蹴り上げ方は人それぞれ個性がありますが、足の位置が下がってくると、ペースが落ちてきた可能性も高くなります。

 走りの特徴を楽しむのであれば、カメラが選手を横から捉えたときに、着地に着目するのも一つ。だいたい、足裏全体をペタッと置く選手、かかとから着地する選手、足の前部から置く選手のパターンに大別できます。

 最近では昨年、マラソンで日本記録を更新した大迫傑選手(ナイキ)や設楽悠太選手(Honda)らの走りで、足の前部を地面に置いて走る前足部着地が話題になりました。これはケニアをはじめとする西アフリカの選手に多く見られます。

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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