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なぜ、村上茉愛は世界の壁を破れたのか 体操界の新ヒロインは「下半身」がスゴイ

目を奪われる屈強な下半身…「涙の落下」から48時間で切り替えた「心」も強さ発揮

 実際に屈強な下半身に目を奪われたファンも多いだろう。体操選手の体格は、しなやかさが目立つ選手と、村上のように筋力が目立つ選手と2つに分かれ、得意種目に傾向が生まれる。

「細くてすらっとしていて、筋肉がつきにくい選手は足に弱さが出ますが、代わりに段違い平行棒、平均台が得意だったりします。村上選手は外国人選手に負けないくらいの筋力があり、それによって生み出される下半身の安定感が着地につながってきます。着地の衝撃が大きいシリバスをこなせるのも、その部分が大きいです」

 もう一つの「空中感覚」については、こう説明する。

「自分が空中で、どんな体勢で、どの位置にいて、着地が取れるという感覚。幼少期から体操を始めると一番吸収しやすく、男子の内村選手も白井選手にも共通して優れています。空中感覚が優れていると、着地の安定性につながってくる。加えて、怪我もしにくいという面もあります」

 シリバスは抱え込みで後方2回宙返り2回ひねりという大技。当然、高さも必要となり、着地に難しさが出る。成功に不可欠な「身体能力」と「空中感覚」を備えているのが、村上の強さにあるという。

「一般的に抱え込みの2回宙返りは遠心力で体が開いてしまうので、手で足を抱える。ただし、シリバスはひねる必要があるので、体を小さく抱え込めない。その分、足で強く蹴って、自分の腹筋だけで小さく作らないといけない。わずかな時間ですが、動作が多くあり、バネだけではできない。すべてが備わっていないとできない技です」

 ミスのない演技を発揮した裏で「心の強さ」が目についたという。その2日前の個人総合で平均台で落下し、メダルを逃した。悔しさのあまり、涙していたが、その48時間後に見違えるような演技を見せた。

「体操に失敗がつきものとはいえ、失敗しない選手が勝つのが体操。普通の選手は割り切れない。しかも、村上選手は試合で失敗する機会は2~3年くらい、なかなか見なかった。その失敗でメダルが獲れず、つらかったと思いますが、同じ大会で切り替えたメンタルの強さが素晴らしかったです」

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岡部 紗季子

 1988年5月16日、東京都生まれ。朝日生命体操クラブ出身。4歳で体操を始める。02年、ナショナルチームメンバー初選抜。明大では2大会連続ユニバーシアード代表に選出。得意種目はゆか。

 引退後は明大コーチを経て、体操教室で指導を行う。TBS系「KUNOICHI」でも活躍。自身のインスタグラムでは街や海など様々な場所で逆立ちやバック転などアクロバティックな技を披露し、人気を博している。

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