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「しっかりしなきゃ」と社会人の自覚 代表7年目・五十嵐千尋「自分が救世主に」

「自分が救世主のようになれたら」と強い決意を語った五十嵐千尋【写真:テレビ朝日】
「自分が救世主のようになれたら」と強い決意を語った五十嵐千尋【写真:テレビ朝日】

ブライダル会社に入社2年目、会社を挙げての応援に奮起「わざわざチケットを買って…」

 日本選手権では初日、400メートル自由形で16歳の新星・難波実夢に敗れて2位となり、大会7連覇は叶わなかった。「気持ちの面やプレッシャーでダメージというか、自分の泳ぎが上手くできなかった」と振り返る。いつもレース前には大きな深呼吸をして緊張を和らげるが、この時ばかりは緊張しすぎて「息が入ってこない。胸がドキドキし過ぎてダメでしたね」。初優勝から6連覇中。年下の選手から追われる立場となった現実に、飲み込まれてしまった。



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 だが、そのままで終わらないのが五十嵐の強みだ。400メートル自由形でV7を逃した悔しさ、そして応援してくれる人達への申し訳なさを発奮材料に臨んだ200メートル自由形。「わざわざチケットを買って見てもらっているのに、このまま悪い結果で、悪いイメージのまま帰ってもらうのは本当に申し訳ない。200は本当に気合を入れて頑張りました」と、白井璃緒に0秒72だけ及ばない2位だったが、1分57秒88で800メートルリレーの派遣標準記録をクリアした。

 瀬戸大也を育てた梅原孝之コーチに師事して2年目。コーチのアドバイスを基に練習していた学生時代とは異なり、「社会人になると自分の身体とも向き合って、自分で考えなくちゃいけないことが多くなったので、苦労していることもあります」と明かす。量よりも質に重点を置いた練習では「1本1本集中してタイムを出し切る」努力を重ねる。課題に掲げるのは「前半からしっかり積極的なレースをする」こと。「前半があるからこそトータルタイムも上がる。前半は56秒台で入って、トータルタイムが1分56秒まで持っていけるように」と目標を掲げた。

 800メートルリレーで出場する世界水泳。青木智美、白井璃緒、池本凪沙とチームを組むが、五十嵐の心の中にはもう一人、チームメイトがいる。現在、水中での戦いは小休止し、白血病克服に専念する池江璃花子だ。昨年のパンパシフィック水泳選手権では、第1泳者の五十嵐から第2泳者の池江に繋ぐ800メートルリレーで7分48秒96の日本新記録を打ち立てた。

「去年は池江さんがいて、池江さんがいたからこそリレーで日本新記録も出せた。私たちにとって池江選手が救世主というか、そういう関係でいたので。今度は私が今まで代表も長いので、自分が救世主のようになれたらいいなと思っています。

 今までどんどんリレー全体のタイムが上がってきたのに(いなくなったら)落ちてしまうのは、やっぱり池江選手にも申し訳ない。青木(智美)さんとも、私たち一人一人が個人的なタイムを上げられるように練習していこうねという話はしました。インスタグラムでストーリーを投稿した時、池江さんから『また必ず戻ってきます』という感じで言葉をいただいたので、それまでには池江選手と同じくらいのレベルまで上がれるように頑張ります」

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