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アイドル似と取り上げられ、DMで無数の誹謗中傷 SNSの投稿がニュースになる時代の選手のあり方――岩渕真奈×登坂絵莉「女性アスリートとメディア」

SNSの投稿がニュースに取り上げられることに考えを語った岩渕さん【写真:松橋晶子】
SNSの投稿がニュースに取り上げられることに考えを語った岩渕さん【写真:松橋晶子】

メディアに容姿を取り上げられ、SNSの投稿をニュースにされる経験も

――それはいつ頃でしょうか?

岩渕「SNSで自分が発信するようになってからだと思います。インスタグラムのフォロワーは、基本、自分のことに興味のある人。彼らからもらう『今日の試合よかったよ』『可愛い!』という言葉に、ポジティブな影響を受けて、頑張ろうって思えるようになったと思う。ただ、注目されることはいい意味でもプレッシャーになる。サッカーに集中しよう、という気持ちを強くしてくれたのも事実」

登坂「そこは私も一緒。見られないより見られているほうが、自分を律することが出来る。やっぱり目標に向かう姿を見て欲しかったし、誰よりも練習をするから強いんだ、と思われる選手でなければという気持ちだった。競技に取り組むモチベーションは、間違いなく高くなったと思う」

岩渕「私に興味を持つきっかけが、サッカーであろうと外見であろうと、自分はサッカー選手。サッカーを一番に考えて、サッカーで返そうということは、ずっと大切にしていたかな」

登坂「私も『ツヨカワアスリート』とか、あるアイドルの方に似ていると言われたとき、SNSのダイレクトメッセージで『似てねえよ、ブス!』とか、ものすごい数のメッセージが届いた。その時に、私を形容する言葉と、その人が持っているイメージとの間にギャップが生まれると、選手は攻撃を浴びるんだなと感じた」

岩渕「それは、本当にある話だよね。今って、選手のSNSの投稿がニュースになる時代じゃない? 例えば誰かと食事に行ったことを投稿すると、ニュースサイトのコメント欄に『サッカーでは話題になんないじゃん』とかよく書き込まれた。自分発信の情報でも、拡散されるとバッシングされることはあるし、そういう反応がいやならSNSをやめればいいと思う。逆に、競技に関係なくても注目されることで、自分の競技のためになると本人が思えるなら投稿すればいいし」

登坂「そうだね。実際、『可愛い』と取り上げられた結果、競技や選手を知ってもらえたケースはたくさんあると思う。そういう意味では、選手が自分の外見を磨くことも、私は競技にとっていいと思うよ」

岩渕「自分たちは、メディアに取り上げられることで、たまたまモチベーションになる側の人間だった、というだけ。中には違う人もいて当然。前半のムダ毛の話もそうだけど、SNSとの距離の取り方も、それぞれの考え、思いに従って、何でも決めればいいと思うよ」

登坂「今は結婚して出産して復帰する選手もいるし、女性アスリートもいろんな選択が出来るようになったと思う。とはいえ、現役でいられる期間は決まっている。限られた時間だからこそ、環境も、生き方も、メイクも、幅広い選択肢のなかで、やりたいことをやり切れるスポーツ界になってほしい」

岩渕「そうだね。短い現役生活、アスリートは本当にやりたいようにやるべき。『女性が輝く社会』って言葉、性別で分けている感じがしてあまり好きではないけれど、スポーツにも女性だから出せる美しさって絶対ある。だから、勝負でも容姿でも、何でもいいから、キラキラ輝く選手が増えてほしい。そして、『女子アスリートってカッコいいな』という言葉がいろんなところから聞こえるようになり、スポーツの世界を目指す子がたくさん続いてくれたら嬉しいな」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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