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生理の課題「男性にも知ってもらいたい」 女性も、男性も、自分の体を知ることの大切さ

伊藤氏は「体を知る」は人間が活動するなかで最も大切なことと語った
伊藤氏は「体を知る」は人間が活動するなかで最も大切なことと語った

「体を知る」は人間が活動するなかで最も大切なこと

――長い学校生活のほんの一瞬に過ぎませんね。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

「そうです。また、認知的なLGBTQの課題も含めて、ジェンダーの課題も山積みですが、体の仕組みでいうと男性・女性では異なります。ところが、私が子どもの頃は、月経の仕組みを学ぶとき、何故か男女に分かれて講義を行っていました。今は男女一緒に実施する学校も増えましたが、それでも半数は未だに男女別に行っているという報告があります。

『体を知る』ことは人間が活動していくなかでもっとも大事なことですので、自分の体のこと、そして自分とは異なる性のことも知ってもらいたい」

――伊藤さんはオリンピアンであり、かつ月経の正しい知識を伝える活動をされています。アスリートと専門家や指導者を繋ぐ現場で感じる難しさは何でしょうか?

「日本のスポーツ界は縦割り社会の象徴みたいな側面があります。競技団体内での上下の繋がりは強くても、例えば、他の競技団体やそこに関わるステークホルダーは横のつながりがない。いかに横断的な取り組みにしていくかを考えないと、知識や情報を共有することがすごく難しい。

 正しい知識や見識は一部が抱え込み、『私たちが得た情報なので私たちとだけ、一緒に取り組みましょう』という考えでは広まらないんですね。やはり、スポーツ界に関わる者同士、様々な垣根を超えて、協力することが大事ですし、協力することに意味があると思っています。

 月経のことに限らず、正しい知識や知見はきちんと共有して、スポーツ界や社会を、より良くしていこう、という意識がないと、現状は変わりません」

――今回のシンポジウムを終えて、改めて、学生アスリートに伝えたいこととは?

「スポーツの現場に限らず、女性と男性が一緒に活動する機会は多くなりましたが、男女では体が異なることを改めて知ってほしい。自分と他者との違い、多様性など、近年言われていますが、まずは自分と他者との違いを理解することなのかもしれません。

 女性は初経(日本の平均は約12歳)が来たら閉経(同約50歳)するまで、月経とともにあり、生涯、健康であるために必要なものです。女性は初経を迎えるとのちに、妊娠、出産をする機会があったり、閉経を迎えたりと、ライフステージによっての体の変化がすごく大きいんですね。

 やはり一緒に生きていくというところで、男性は女性の、女性は男性の体について知ってもらいたい。そして女性が抱える月経に関する課題には、ぜひ男性も知ってほしい。当事者だけの声では、スポーツ界の月経の課題を取り巻く状況は、変わらないと思います」

――女性アスリートの環境整備には男性の協力は不可欠。

「今の日本はまだまだ男性中心の社会です。特にスポーツ界は、競技団体の女性 役員の割合は9%程度(9.4%※1)、指導者も約7割が男性(72.5%※2)というデータがあります。ですから、月経の課題に取り組むには、男性の指導者、そして、一緒に練習する男子学生にも知ってもらいたい。

 同時に男子学生も、自分の体を知ってほしい。実は男性も、年齢によってホルモンの変化があり、その影響を心身に受けますから」

※1、2 参考:スポーツ基本計画の第2項 スポーツ庁 2017年

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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