[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

スポーツ界の生理問題 教育の抜本的改革を有森裕子が提言、「保健体育」の見直しを

有森氏は体を学ぶ必要性を、自身の更年期障害の経験をテレビで語ったときにも感じたという
有森氏は体を学ぶ必要性を、自身の更年期障害の経験をテレビで語ったときにも感じたという

問題解決の糸口は「理解」と「教育」

 両者間のコミュニケーションの齟齬を解決するためには、どうすればよいのか? 解決の糸口は「理解」と「教育」にある、と有森氏は話す。

「問題の解決は一筋縄ではいかないと思いますが、私は男女という以上に、人間同士の信頼関係があるかないかが、重要だと考えます。センシティブな問題ですから、お互いが理解したい、理解して欲しい相手であることが大前提。そういう相手であれば、あとは気持ちを素直に言葉にすることが大切です。

 それから、指導者が『理解したい』という姿勢を見せることは大事ですが、私は、選手側の意識も変わらなければいけないと思います。どうも性の問題は『理解してほしい』『理解してくれない』という声ばかりが大きく、取り上げられやすい。でも、一方からそれを要求しても得られるのは『agree(同意)』であり、『理解』ではありません。

 互いが理解したいと思わなければ、どんな相手でも、どんな手法をもっても、コミュニケーションは成り立ちません。相手に理解を求めるなら、自分も相手を理解したいと思うことが大事。そして人は、理解しようと歩み寄ることができます。小出監督も難しい人でしたが、私たちもお互い、侃々諤々、ケンカもしながらやっていました。

 月経の問題は、どちらかだけに知ってもらおう、理解してもらおうという姿勢では、解決しないと思います」

「教育」については、抜本的な改革が必要ではないか、と話す。

「昔から保健体育という教科はありました。私も小学生のときに、男女に分かれて、体のことを学ぶ機会があった、と記憶しています。でも、どうも学んだ内容が頭に残っていない。

 私は一生を通して人の体にはどんなことが起こるかを、継続的に保健体育で学ぶ必要があると考えます。月経周期はメンタル、フィジカルに、どんな影響を与えるのか。年をとると迎える更年期とは何か。そのとき、女性は、男性は、体にどんな変化や症状が起こるのか。もちろん、ここには性教育も含みます。

 子どもたちは包括的に体を学ぶ機会がないから、スポーツに真剣に取り組み始めた途端、月経トラブルが起きたり、月経の困りごとの対処法がわからず、悩んだりする。加えて、トラブルが起きたとき、場当たり的に対処して終わってしまうことも問題。きちんと原因を理解しないと、体の知識は身につかないままですから」

 男女の隔たりなく、保健体育でしっかりと学ぶ必要性は、自身の更年期障害の経験をテレビで語ったときにも感じた、という。

1 2 3

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集