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貧血、体重、生理、「女性アスリートの身体の問題」が解決しない理由 有森裕子の考え

女性アスリートの問題解決へ「皆が『違い』に興味持ち、相互理解を深めて」

 貧血、体重、生理。これらはすべてつながっている。加えて、メンタル的な影響もある。すべてを別々に語っても問題は解決しないことを、まずは女性自身がわかっていないといけない、と諭す。

「しかし、問題は根深いです。まずは子供たち。学校教育には保健体育という教科があるにも関わらず、生理が始まる前の子供たちに身体や性の教育をきちんと行っていない。しかも、生理について教えるときは、男女別にして話を聞かせる。そうやって『みんなで語られていない』ことは問題だと思います。

 また指導者ですが、生理一つとっても体育、部活の先生なんて当たり前に語られなければいけない。私の学生時代は、指導者が正しい生理の情報を持っていなかった。今も男の先生に話を聞くと、今ごろ生理を学んでいるという人も少なくなく、ビックリしちゃいました。女子選手の男親には、わかっていない方は山ほどいるんだろうなと思います。でも、男親も女親も理解しなければいけない」

 有森さんは「女性の問題は女性の話」という考え方が根強いことも問題である、と指摘する。

「身体の話になると『女性アスリートの場合』となるが、これらは人間の話です。女性であっても男性を、男性であっても女性を知らなければいけない。例えば、今、男性の乳がんが問題になっています。

 男性は自分が乳がんであることを、『恥ずかしい』と思い、変な目で見られるのではと表にできないことが問題に影響しています。乳がんについて声を上げているのは女性ばかり。そのため男性の患者は、情報も少なく、自分に対する差別的な思考に縛られ、すごく悩んでしまう。

 でも、男性が声を上げられるようになり、報道もされれば、理解も広がり状況は変わります。この話と長年、女性アスリートの身体の問題が解決されないこととは、問題の根本は同じです」

 相互を理解し、コミュニケーションを深める。これが、今ある女性アスリートの身体の問題を解決し、さらにはスポーツ界、社会のジェンダー問題の解決にもつながる。有森さんは熱を込めて語る。

「(身体の話だけでなく)女性問題は男性と戦って解決するものではない。男女平等をうたい、女性委員会を立ち上げるのであれば、そこに男性も入れないとダメ。自分を知る、人を知る、いろいろ知る。皆が『違い』に興味を持ち、相互の理解を深めて欲しいなと思います」

■有森裕子 / Yuko Arimori

 1966年、岡山県生まれ。元プロマラソンランナー。就実高、日体大を卒業し、リクルート入社。女子マラソンで92年バルセロナ五輪では銀メダルを、96年アトランタ五輪でも銅メダルを獲得。故障やメダル獲得の重圧を背負い臨んだアトランタ五輪のレース後に残した「自分で自分を褒めたい」という言葉は、その年の流行語大賞となる。07年2月、「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。10年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。現在、国際オリンピック委員会(IOC)と活動的社会委員会委員、日本陸上競技連盟副会長、スペシャルオリンピックス日本理事長、ハート・オブ・ゴールド代表理事等の要職を務める。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、以上サンマーク出版)、『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド完全版』(金哲彦著、高橋書店)など。

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