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「月経は来ない方がいい」という風潮 女子選手は“女性”を捨てなければ勝てないのか

「女子選手を管理しておきたい男性指導者」の存在

伊藤「例えば、アメリカはいろんな競技をやりますよね。能力が伸びてきて、大人になった時に頑張らせるのが普通。日本は競技によっては10代では世界で勝てるのに、シニアになったら負ける競技もある。練習量がほかの国より多く、やりすぎてしまうから勝てているのかなという見方もあります」

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江夏「みんなヘトヘトになって脱落して辞めていくようなこともある。それで自分が頑張ってきたスポーツを『もうやりたくない』なんて、もったいないと感じます」

伊藤「若い子たちはエンジョイしてほしいですよね。結局、水泳も大人になってからじゃないとタイムは追いついてこない。中学新や学童新を出してもシニアのタイムには至らないので、若いうちに1つの競技だけに集中して頑張らなくていいかなとも思います」

江夏「伸びしろを残したまま成長するくらいにしないと、選手の心にも体にも良くないですね。フィギュアスケートもそう。大人の体に変わっていく時期に我慢しきれるか。私の世代までは水泳も高卒で引退というのが普通でした。私は大学までやったけど、大学4~6年(24~5歳)ですごくタイムが伸びた。もっと続けたいと思ったけど、さすがに医者になってからはできませんでした」

伊藤「私は27歳までやることができました。フランスでは女性は年齢を重ねた方がいいと言われたりしていますよね」

江夏「40代で五輪に出るとか子供を産んで帰ってくるとか、そういうことも海外ではありますよね。指導者に男性が多くて刷り込みなのか、女の子はかわいくて自分のことを聞いて……という考えを持っている指導者が多いのかなと感じることもあります」

伊藤「そう思います。女子選手を管理しておきたい、という男性の指導者もいっぱいいると思います」

江夏「親子関係もそうなんですけど、親は子に自分を超えられてナンボじゃないですか。指導者だって自分を超えられてナンボ。そのためにいろんな科学的トレーニングだったり、四方八方から専門家を連れてきたり、一生をかけて能力を伸ばしてあげられる、自分の能力を超えたら次の指導者に引き継げる指導者になってほしい。自分の枠のなかに入れて、『自分の言うことを聞いておけばいいんだ』という指導者も少なくないですから」

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伊藤 華英

 日本代表選手として2012年ロンドン五輪まで日本競泳会に貢献。2004年アテネ五輪出場確実と騒がれたが、選考会で実力を発揮できず、出場を逃す。水泳が心底好きという気持ちと、五輪にどうしても行きたいという強い気持ちで、2008年女子100m背泳ぎ日本記録を樹立し、初めて五輪代表選手となる。

 その後、メダル獲得を目標にロンドン五輪を目指すが、怪我により2009年に背泳ぎから自由形に転向。自由形の日本代表選手として、世界選手権・アジア大会での数々のメダル獲得を経て、2012年ロンドン五輪・自由形の代表選手となる。2012年10月の岐阜国体を最後に現役引退。

 引退後、ピラティスの資格取得とともに、水泳とピラティスの素晴らしさを多くの人に伝えたいと活動中。また、スポーツ界の環境保全を啓発・実践する「JOCオリンピック・ムーヴメントアンバサダー」としても活動中。

江夏 亜希子

1970年、宮崎・都城市生まれ。96年に鳥取大学卒業後、鳥取大学産婦人科に入局。鳥取大学医学部附属病院、公立八鹿病院(兵庫県)、国立米子病院(現・米子医療センター)などの勤務を経て、04年に上京。汐留第2セントラルクリニック、イーク丸の内、ウィミンズウェルネス銀座クリニックにて女性外来での診療を経験する傍ら、東京大学大学院身体教育学研究科にてスポーツ医学を学び、10年4月に東京都中央区に四季レディースクリニックを開院。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターなど。日本エンドメトリオーシス学会、日本性感染症学会、日本臨床スポーツ医学会にも所属する。

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