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ジムトレと自宅トレ、どっちが効率的か 「自宅は意味がない」は陥りやすい罠?

ジムは移動、着替えに時間を取られて時間に非効率性を感じることも

 ただしこれは、“1種目の筋トレで効率良く筋肉をデカくする”という観点だけからみた効率の良さです。別の角度からも、2種目を比較してみましょう。

 プッシュアップでは大胸筋を刺激するだけでなく、同時に肩甲骨を閉じたり開いたりという動きが生まれます。また、肩甲骨が体幹から上方に離れないよう(厳密には体幹が肩甲骨から落ちないよう)、前鋸筋や小胸筋で体幹に固定しておく必要があります。一方、ベンチプレスでは、大胸筋だけに負荷を集中できますが、肩甲骨はベンチ台に支えられており、しかも一切動きません。つまり、プッシュアップの方が肩甲骨周囲の筋肉も使えるという、プラスの効果があります。

 また、ジム通いは移動や着替えなどに時間がとられます。1分でも有効に時間を使いたい、少しでも1日の生産性を下げたくないという人は、そこに非効率性を感じる場合もあります。

 それから、ジムに行くと、動きをコントロールしきれないほどの高重量ベンチプレスに果敢に挑戦し、全身の力を振り絞って、勢い良く挙げている人をよく見かけます。これでは、重りに振り回され、精密なフォームでトレーニングできません。結果、狙った筋肉に刺激を集められず、非効率です。

 ウエイトを使ったトレーニングに取り組む際、ウエイトに振り回されるのではなく、コントロールするために、まずは自分の体重ぐらいは動きをコントロールできるようにしておきたい。そういう意味では、プッシュアップはファーストステップになります。そこを丁寧に、正確にできるようになればその先、ウエイトトレーニングの良さをより一層味わえるようになります。

 以上のことから、大胸筋を短時間で、1ミリグラムでも大きくしたいのであれば、ベンチプレスに軍配が上がり、大胸筋だけでなく肩甲骨周囲の細かな筋群も鍛える、自分の体の動きをコントロールする技術を習得する、さらに移動時間の短縮などを考えればプッシュアップに軍配が上がります。つまり、ジムがいい、家トレがいいとは、単純には言えないのです。

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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