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親友・阿部詩も襲った「内定の重圧」 素根輝は“自分らしさ”守り、東京五輪を掴んだ

東京五輪代表選考会の一つとなっている柔道グランドスラム(GS)大阪大会の最終日が24日、丸善インテックアリーナ大阪で行われ、女子78キロ超級を制した素根輝(環太平洋大)が初の五輪代表に内定した。同学年で仲のいい女子52キロ級の阿部詩(日体大)は、22日の決勝で敗れて今大会での内定はならず。素根は五輪切符の重圧がかかる大会で強さを見せ、阿部との出場を心待ちにした。

素根輝が五輪代表に内定も阿部詩は内定ならず【写真:Getty Images】
素根輝が五輪代表に内定も阿部詩は内定ならず【写真:Getty Images】

同じ19歳の阿部詩と素根輝に明暗、増地監督「素根は己に打ち勝った」

 東京五輪代表選考会の一つとなっている柔道グランドスラム(GS)大阪大会の最終日が24日、丸善インテックアリーナ大阪で行われ、女子78キロ超級を制した素根輝(環太平洋大)が初の五輪代表に内定した。同学年で仲のいい女子52キロ級の阿部詩(日体大)は、22日の決勝で敗れて今大会での内定はならず。素根は五輪切符の重圧がかかる大会で強さを見せ、阿部との出場を心待ちにした。


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 19歳が“最後の砦”として五輪切符を掴み取った。素根は、決勝で北京五輪銅、ロンドン五輪金、リオ五輪銀、2013、14年世界選手権女王のオルティスと対戦。実績十分の元世界女王にひるまず立ち向かった。ホームの声援が降り注ぐ中、ゴールデンスコア方式の延長に突入。スタンドからは、いつも練習をサポートする兄・勝さんから「輝、絶対行けるぞ!」と声が飛んだ。

「苦しい試合になると、試合前から思っていた。最後は気持ちの勝負と思っていた。気持ちだけは切らさずに向かって行った。勝つということだけ考えて、一戦、一戦、全力で戦いました」

 迎えた延長1分53秒だった。素根が大内刈りで技ありを奪って優勝。派手に感情を出すことなく畳を降りた。夢の東京五輪金メダルに向けて立ちはだかる30歳のベテランを撃破。試合から1時間後、これまでの努力が報われる瞬間が訪れた。全柔連強化委員会で出席者の34人が満場一致で賛成。柔道では男女通じて内定1号だった。

「優勝はできたけど、落ち着かない気持ちだった。決まったと聞いて、本当にちょっとホッとしました」

 安心感が胸に染み、思わず笑みがこぼれた。世界選手権優勝者が今大会を制し、強化委員会で3分の2以上の賛成を得られれば五輪に内定。チャンスがあったのは、素根のほかに阿部と男子66キロ級・丸山城志郎(ミキハウス)の3人だった。しかし、両者とも22日の決勝で敗戦。リオ五輪王者の大野将平(旭化成)も権利があったが、ケガで欠場した。準優勝に終わった阿部は、悔しくて泣きじゃくった。女子の増地克之監督は明かす。

「今日の素根輝の戦いを見る限り、まず己に打ち勝ったというのが率直な気持ちです。阿部詩本人にも聞きましたが、『内定のプレッシャーのかかる場面で自分らしさが出なかった』と話していた。それで今日の素根は自分の柔道に徹した。相手よりもまずは自分に勝つことに徹した」

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