力石政法、世界初挑戦に失敗 28勝28KOの怪物ヌニェスと12R激闘も判定負け、4組目の兄弟同時世界王者ならず
ボクシングのIBF世界スーパーフェザー級(58.9キロ以下)王座決定戦12回戦が28日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級3位・力石政法(大橋)が同級1位エドアルド・ヌニェス(メキシコ)に3-0で判定負け(117-111、116-112、115-113)した。世界的に盛んな階級でKO勝率100%のハードパンチャーに挑んだが、悲願の王座獲得はならず。世界2階級制覇王者の兄・矢吹正道(LUSH緑)との「兄弟同時世界王者」には届かなかった。戦績は30歳の力石が16勝(11KO)2敗、27歳のヌニェスが29勝(28KO)1敗。

力石政法VSヌニェス
ボクシングのIBF世界スーパーフェザー級(58.9キロ以下)王座決定戦12回戦が28日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級3位・力石政法(大橋)が同級1位エドアルド・ヌニェス(メキシコ)に3-0で判定負け(117-111、116-112、115-113)した。世界的に盛んな階級でKO勝率100%のハードパンチャーに挑んだが、悲願の王座獲得はならず。世界2階級制覇王者の兄・矢吹正道(LUSH緑)との「兄弟同時世界王者」には届かなかった。戦績は30歳の力石が16勝(11KO)2敗、27歳のヌニェスが29勝(28KO)1敗。
力石は177センチの長身サウスポーだが、9センチ低いヌニェスに圧力を掛けられた。相手の強打が鈍い音を立て、会場はどよめき。左右に回りながらいなす展開が続き、3回は打ち終わりに左ストレートを当てた。中盤は接近戦から被弾が目立ったが、5回終盤に連打からワンツーを突き刺した。防戦一方の7回には客席から「力石!」コール。しかし、ガードの上から左右に揺らされた。
反撃は8回、カウンターの左で相手のバランスを崩し、会場の熱は一気に上がった。10回開始直後に右オーバーハンドをテンプルにもらい、猛攻を受けるピンチ。顎が跳ね上がった。「チャンピオンになるんだろ!」。客席ファンも叫んだが、終盤も相手の手は止まらない。最終12回は執念で打ち返し、KO勝率100%の相手に立ち続けたが、及ばず。判定結果を聞くと、潔く拍手を送った。

ヌニェスはリングインタビューで「ありがとう。俺は満足している。この日のために13年間練習していた。チャンスをものにできて嬉しい」と喜び、今後については「分からない。プロモーターが考えていく」とコメント。「自分は日本がとても好き。また戻ってきて試合をしたい」とも語った。
幼い頃にボクシングを始めたが、「親にやらされている」感覚だった。複雑な家庭環境もあり、17歳で家出。自分で働いたものの、18歳から20歳の間は少年院で過ごした。院内の教育で夢を描くように。「絶対、世界一になると先生と約束した」。更生し、23歳だった2017年7月にプロデビュー。3戦目に2回TKO負けでプロ初黒星を喫したが、這い上がってきた。

昨年3月には敵地イタリアでのWBCシルバー王座戦で12回TKO勝利。世界的に猛者が多く、挑戦が難しいスーパーフェザー級で生き残った。同7月にLUSH緑ジムから大橋ジムに移籍後、2戦目で世界初挑戦。岡田誠一、鈴木康弘両トレーナーの2人体制で指導を受け、パワーとテクニックの両面を磨いた。
兄の矢吹正道(LUSH緑)は3月にIBF世界フライ級王者だったアンヘル・アヤラ(メキシコ)に12回TKO勝ちし、世界2階級制覇を達成した。矢吹はリングサイドから声援。力石は「怪物」と表現したヌニェスに敗れ、亀田3兄弟、井上尚弥&拓真、重岡優大&銀次朗に続く日本4組目の兄弟同時世界王者には届かなかった。
同級の世界王座は、WBAをレイモント・ローチ(米国)、WBCをオーシャキール・フォスター(米国)、WBOをエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が保持。メインイベントでは、WBO世界バンタム級王者・武居由樹(大橋)が同級8位ユッタポン・トンデイ(タイ)との2度目の防衛戦に臨む。
(THE ANSWER編集部)