井上尚弥と激闘

　ボクシングの世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が4日（日本時間5日）、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナでWBA世界同級1位のラモン・カルデナス（米国）との4団体防衛戦に臨み、8回45秒TKO勝ちした。敗れたカルデナスだったが、モンスター相手にダウンを奪うなど健闘。その戦いぶりが、日本の女の子との心温まるエピソードを生んでいた。

　モンスター相手に、正々堂々戦い抜いた。ラスベガスに衝撃が走ったのは2回終盤。カウンターの左フックをかまし、ダウンを奪った。井上にとって昨年5月のルイス・ネリ戦以来、試合ではアマチュア時代を含めて人生2度目のダウン。会場は騒然となった。その後は井上の反撃に遭って敗れたものの、終始、前に出続けるスタイルはファンを魅了した。

　試合後、カルデナスは自身のXである女の子からの手紙を紹介している。日本人ユーザーが投稿した、試合に感動したという娘の手紙をリポストしたもの。投稿主はどこに送ればいいかわからなかったようだが、無事にカルデナス本人の目に触れていた。

　可愛らしい便箋に、丁寧な英語で書かれていたのは「ラモン、こんにちは。あなたの試合を観ました」との言葉で始まる嬉しいメッセージ。「はじめは、イノウエのことを応援していたの。でも、私はあなたの勇気と粘り強さに惹かれた」と井上を応援する中でカルデナスの魅力に気付いたという。

「私は日本人だから、海外選手を応援することはないんだけど、あなたのインチキじゃない行為に感動した。ただただガッツだけで、イノウエに挑戦した。そんなあなたの姿に感動したの」

　無敗のモンスターの強打を浴びてもひるまなかった。手紙では「勇気を持ってイノウエに立ち向かう姿はとてもかっこいい！　これからも逆境を乗り越えてね。心の底からあなたを応援してる」とエールが記されていた。

　これにカルデナスは「これを書いてくれた女の子、本当にありがとう。手紙を受け取るのは嬉しいことだ。DMを送ってくれ、そうすれば俺の住所を教えられる。ありがとう！」と反応。日本から思わぬ手紙に感激していた。