顔面骨折で救急搬送、傷ついたプライド「甘かった」 “人生初黒星”ボクサー重岡銀次朗が再戦へ
ボクシングの前IBF世界ミニマム級王者・重岡銀次朗(ワタナベ)が23日、都内の所属ジムでスパーリングを公開した。5月24日にインテックス大阪で同級王者ペドロ・タドゥラン(フィリピン)と直接の再戦。アマチュア時代を含め“人生初黒星”から再起し、「人生最大の壁」をぶっ壊す。戦績は25歳の重岡が11勝(9KO)1敗。28歳のタドゥランが17勝(13KO)4敗1分。

重岡銀次朗がスパー公開
ボクシングの前IBF世界ミニマム級王者・重岡銀次朗(ワタナベ)が23日、都内の所属ジムでスパーリングを公開した。5月24日にインテックス大阪で同級王者ペドロ・タドゥラン(フィリピン)と直接の再戦。アマチュア時代を含め“人生初黒星”から再起し、「人生最大の壁」をぶっ壊す。戦績は25歳の重岡が11勝(9KO)1敗。28歳のタドゥランが17勝(13KO)4敗1分。
サウスポーの重岡は軽快な動きで順調ぶりを窺わせた。日本同級7位・坂田一颯(S&K)と2回のスパーを披露。軽快なジャブやワンツーを的確に出し、相手が攻めてくれば冷静に対処した。スパー前後にはシャドー2回ずつを消化。計6回を終え「ありがとうございました!」と報道陣に元気よく挨拶した。
「負けて再戦するのは初めて。その時点で挑戦。ここを越えたらデカいと思う。人生最大の壁。乗り越えないといけない」
初の敗北を力に変える。昨年7月、指名挑戦者のタドゥランに9回TKO負け。相手のタフネスと攻撃力の前に苦戦を強いられ、2回に負傷した右目が中盤から大きく腫れた。ロープ際の連打で防戦一方となったところでレフェリーストップ。3度目の防衛に失敗した。
「初めての負けはやっぱり傷つきましたね。プライドを持ってボクシングをやっていたので。落ち込みました。左ストレートを狙いすぎていた。同時に打ってどこかでガツンと効かせてやろうと思っていた。甘かったですね。一発じゃダメ」
アマ時代の戦績は兄・優大(ワタナベ)との試合を棄権した1敗のみで56勝1敗。プロ転向後も11勝1無効試合と実質的に“人生無敗”を継続してきたが、まさかの黒星となった。
試合後は救急搬送。右眼窩(がんか)底骨折と診断され、手術を受けた。「全身のダメージがすごかった。担架で運ばれるボクシング人生になるとは思わなかった。(担架を)最初は断ったけど、ダメージが半端ない。あの時は『もういいや』って感じでした」。ただし、2回の負傷は「直接的には関係ない」と敗因にはしなかった。

失った長所を取り戻す日々、時間の使い方も改善
「どうやったらリベンジが確実にできるか、足りないものは何か、ずっと自分の実力を向き合って伸ばしてきた」
約1か月でジムワークを再開。8月に世界戦を控えた兄をサポートする傍ら、自らのフォームを見直した。KOへのこだわりが強く、左ストレートを狙いすぎるあまり、知らず知らずのうちに体が正対していた。フットワークの良さが薄れ、相手に狙われる状態。「少しずつアマ時代の良さを忘れていた」。長所を思い出しながら半身で構え、重心位置など細部にこだわった。
時間の使い方も改善。ロードワークの後、ジム練習までの時間は家で体幹トレーニングや腕立て伏せなどに励んだ。フィジカルの強いタドゥランに対抗するため。「体重は増えていない。食べながら練習できている。体が強くなっている感覚がある」。高校時代から使っていたマウスピースも約10年ぶりに新調。「息がしづらかったから、できあがるのが楽しみ」と笑った。
この日は、興行を手掛ける元世界3階級制覇王者・亀田興毅ファウンダーも会見に出席。重岡について「ミニマム級離れした力強さを持っている選手。前回は2回で怪我とかもあった。そういうところも含めて修正してくれると思います。頑張って勝ってもらいたい」と期待した。
重岡は「KOを狙いすぎないようにしたい。12回あるので隙を見て確実な判断をしたい」と冷静だ。「鍵は相手のボクシングに付き合わないこと。得意の足と前の手(右手)はいつも以上に使いたい」。しかし、KOへの想いは拭えない。「もちろん倒したい。どこかで倒したいけど、12回を想定して練習してきた。悔しい思いをしたのでやり返したい」と内に秘めながら殴りにいく。
同興行のメインイベントでは、IBF世界フェザー級1位・亀田和毅(TMK)が同級王者アンジェロ・レオ(米国)に挑戦。興行はABEMAで無料生配信される。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)