第一線退く陸上・寺田明日香が涙の会見 清宮幸太郎&長女登場のサプライズづくし「え~~!!」
陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者・寺田明日香(ジャパンクリエイト)が15日、都内で会見し、今季限りで第一線を退く意向を表明した。2021年東京五輪の同種目では、日本人21年ぶりの準決勝進出を果たすなど活躍。14年に長女を出産し「ママアスリート」として脚光を浴びた35歳が、自らの言葉で今後を語った。

寺田明日香が会見で正式表明
陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者・寺田明日香(ジャパンクリエイト)が15日、都内で会見し、今季限りで第一線を退く意向を表明した。2021年東京五輪の同種目では、日本人21年ぶりの準決勝進出を果たすなど活躍。14年に長女を出産し「ママアスリート」として脚光を浴びた35歳が、自らの言葉で今後を語った。
会見冒頭は東京五輪のレース、家族との日々などを収めた映像が流れた。すでに涙を流した寺田はウェア姿で登壇。「最初っから泣かせに来てダメじゃんって(笑)。ズルいよね! そういうのじゃないのに」と笑いを誘い、マイクを通じて挨拶した。
「今シーズンを持って第一線を退くことを決意しました。これが引退なのか。引退という言葉はいったん置いておきます。今後は大人から子どもの方と本気で走っていきたいので、引退という言葉は置いておきます。とはいえ、日本選手権などの選考会に出場するのは今季が最後です。世界陸上に向けて頑張っていきたいです」
小学4年から競技を始め、全国高校総体3連覇、日本選手権3連覇など将来を期待されたが、2013年に怪我や摂食障害などで現役を一度引退。14年に結婚・出産を経て、16年夏に7人制ラグビ ーに挑戦した。陸上に復帰した19年に日本記録を樹立し、21年にも2度更新。同年東京五輪で日本人21年ぶりの準決勝進出し、「ママアスリート」として脚光を浴びながらこの種目を牽引した。
北海道出身で始球式を務めたこともある日本 ハムから、清宮幸太郎がサプライズメッセージ。労いの言葉をもらった。
「一度現役を引退され、ご結婚、出産もあり、育児もこなし、母親とトップアスリートの二刀流としてご活躍されていたのを拝見しておりました。決断を悩まれたと思います。お疲れ様でした。明日香さんと僕は北海道とファイターズ、早稲田大学、ラグビー選手、父親の繋がりもあり、たくさんのご縁をいただきました。激励会で一度お会いできたことも覚えております。今後も是非ごはんなども行かせていただければ」
寺田は「バットは一番いい目立つところに飾ります。幸太郎くん、いい子なんです! 今もラグビーファミリーとして繋がりをもってくださっている。シーズン中は見に行けなかったけど、これからも野球を見に行きたい」と感激の面持ちだった。
さらに「ご活躍に敬意を」と清宮の直筆サイン入り使用バットと特製キーホルダーを受け取った。会場では、日本ラグビ ー協会副会長で清宮の父・克幸氏がバットを贈呈。「え~~!!」と仰天する寺田に対し、克幸氏は「本当に素敵ですね。最後の1年を応援しております。うちとはご縁がありすぎなんです。本当にお疲れ様でした」と伝えた。

この日はマネージャーの夫・峻一さん、小学5年の長女・果緒さんも見守った。写真撮影を終え、最後には果緒さんも登場し「22年間お疲れ様でした」と照れくさそうに花束贈呈。「陸上をやってきたママに新しいスタートのタイミングで気持ちを渡すことができて嬉しかったです」と語り、サプライズづくしの会見となった。
寺田は「娘が陸上を始めちゃったんですよ。ちゃったって言い方(笑)。娘がやりたいと言った時に、やっていてよかったなと思った。つらいこともあるけど、楽しそうにやっていると思ってもらえたのは、私の一つの陸上人生の成功だと思う」と涙、涙の会見。「昨夜も果緒が花束渡すでしょ? と聞いて(バレそうで)危なかった。娘が5年生になるまで現役をしていると思っていなかった。私を見て走るのが楽しいと思ってくれていたら嬉しい。サポートしていきたい」と感無量だった。
今月29日の織田記念国際(広島)にエントリー。6月の布勢スプリントなどにも出場する。9月には東京世界陸上が行われる。代表選考となる7月の日本選手権は「勝ちに行きたい。勝ち逃げしたい(笑)。標準記録突破を目標にしたい」と照準を定めた。現役の傍ら陸上教室や食育を通じて次世代育成に取り組むイベント会社「A-START」を22年2月に設立。今後の活動の中心となる。
■寺田明日香 / Asuka Terada
1990年1月14日生まれ、北海道出身。小4から競技を始め、北海道・恵庭北高では100メートル障害で全国高校総体3連覇。08年から日本選手権3連覇し、13年に怪我や摂食障害などで現役を一度引退。14年に早大人間科学部に進学し、同年に結婚・出産を経て、16年夏に7人制ラグビーに挑戦した。17年1月から日本代表練習生として活動。18年12月に陸上界復帰を表明。19年は日本選手権3位、9月に12秒97の日本新を樹立。21年に自身の日本記録を2度更新。同年日本選手権で大会史上最長ブランクの11年ぶり優勝を果たした。同年東京五輪は日本人21年ぶりの準決勝進出。23年ブダペストなど世界陸上は3度出場。自己ベストは23年5月の12秒86(日本歴代3位タイ)。家族は夫・峻一さん、長女・果緒さん。
(THE ANSWER編集部)