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現役中にやっておけば良かった事は「起業」「語学の勉強」 多彩なキャリアを歩むアスリート4人が討論

現役中にやっておけば良かったことは「起業」「語学の勉強」「大学院進学」

――現役中に「やっておけば良かったこと」は?

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西村氏「起業です。今の時代だったら、していたような気がします。今は本田選手や長友選手が際立っていますが、私世代は現役に集中するということがしっくりきており、その挑戦はできませんでした」

菊池「語学の勉強です。ボリビアではスペイン語が公用語でしたが、全く分かりませんでした。サッカーの練習は 1日2~3時間ありましたが、残りの時間はパソコンで日本の情報を得るためにつかってしまうことが多かったです。今振り返ると、1日5~6時間をスペイン語の勉強に時間を使っていたら、試合中もチームメイトのことをもっと理解することができたと思います。また、後々の自分の強みにもつながり、キャリアの幅も広がっていたのではと思います。現在は当時よりもオンラインサービスが普及しているので、より時間が有効に使える時代だと思います」

草野「私は反対に、やっておいて良かったことをお話しします。それは大学院に行ったことです。私はバレーボールを小学生のころからずっとやっていましたが、30歳で大学院に行き、いろいろな分野の先生から話を聞き、様々な競技の人の話を聞くことができ、世界が広がりました。ものすごく衝撃を受けました。それ以前は、競技に集中することが、周りとのコミュニケーションを遮断するところに行きついている部分があったのではと思います」

田中氏「大学院に通おうと思ったきっかけは何ですか?」

草野「リオ五輪に出場できなかったことがきっかけでした。人生の全てを捧げたと思ったので、これ以上普通に頑張っても難しいのかなと思いました。そこで、周りの方から進めてもらい、大学院に通うことにしました。すると、競技パフォーマンスはすごく上がったのです。パートナーとのコミュニケーション、他者を受け入れる力、自分のことを知ってもらうスキルに繋がったと思います」

玉井「今は現役中のため、私もやって良かったことの話なのですが、ハイブリッドキャリアを実践していることですね。キャリアに不安を感じているということを人に相談するには勇気がいりましたが、そのような弱みをさらけだして前に一歩踏み出せたことが、とても大きかったです。ハイブリッドキャリアを始めた当初は、『大丈夫なのか?』『パフォーマンスが落ちるのでは?』という声も聞こえましたが、今は、『良かったね』と言われることが多いです。女子ラグビーでは、このようなハイブリッドキャリアを実践している人は少数派かなと思います。私は今30歳で、女子ラグビー選手の中でも上の世代ですが、私たちの活動が次世代につながっていったらと思っています」

――競技生活の経験で、今の仕事に役立っていることは?

玉井「人を思う気持ち、仲間を思う気持ち、です。試合中、『タックルしよう』ではなく『この仲間を助けよう』と考えることで、早く動くことができます。仕事の場面でもクライアントのために何ができるか、周りのために何ができるかを考えて行動しています。また、競技で課題を感じたとき、解決策を導き出すサイクルも、仕事に活かせていると思います」

草野「チームワークをとる、コミュニケーションをとる、ということです。ビーチバレーボールはコミュニケーションをとり、パートナーを理解することがとても大切です。考え方が違っていても、一緒に取り組まなくてはいけません。現役生活の経験から、異なる考えを持つ人とも一緒に何かに取り組むことができるようになったと思います。コミュニケーションを取るということは、『傾聴すること』が大切だと思っています。現役中は、自分のやりたいことが前に出てしまい、うまいかないこともありました」

菊池「営業力です。学生時代(2002年)に海外に行った当時はSNSもなく情報収集ができなかったので、現地のサッカー協会に行き、事情を話してチームリストをもらいました。そして、公衆電話でチームに1件ずつ電話し『練習に参加させてほしい』とお願いをします。これは社会人になった時、新規開拓営業の仕事に活きました。自分自身を海外で売り込んでいたので、サービスを提案するということに抵抗を感じなかったです。初日の練習で頑張っている姿を見せて、また明日も見たいと監督に思ってもらえるようコミュニケーションをとり、信頼に繋げる努力をすることもサッカーと新規営業は同じでした」

西村氏「考え抜く力が役立ちました。怪我をしたことがきっかけです。どうしたら怪我をしなくて済むか、怪我を早く治すにはどうしたらいいか、どのような体調
管理が大切か等を考えて行動に移す。課題を発見し、アクションをする。このことは今でも役立っていると思います」

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