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箱根駅伝2位は「自信になった」 順大監督のチーム管理術、大切にする選手との距離感

選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。順天堂大学は2022年の箱根駅伝で総合2位と躍進した。15年ぶりのトップ3という結果はどのようにしてもたらされたのか。長門俊介監督に、駅伝のチーム作りについて話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)

箱根駅伝2位の結果を受けて、チーム作りへの手応えを語った順天堂大学の長門俊介監督【写真:THE ANSWER編集部】
箱根駅伝2位の結果を受けて、チーム作りへの手応えを語った順天堂大学の長門俊介監督【写真:THE ANSWER編集部】

連載「陸上指導者の哲学」、順天堂大学陸上部・長門俊介監督インタビュー第3回

 選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。順天堂大学は2022年の箱根駅伝で総合2位と躍進した。15年ぶりのトップ3という結果はどのようにしてもたらされたのか。長門俊介監督に、駅伝のチーム作りについて話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)

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 前回の箱根駅伝で順天堂大学は総合2位という結果を出し、15年ぶりに3位以内に入った。陸上競技は個人スポーツだが、駅伝は全員が同じ目標に向かって協力、連携する共同体となって戦うチームスポーツである。個人の力を高めることが、必ずしもチーム全体の成果につながるわけではないところが難しさでもあるが、長門監督はどのようにして今年度の駅伝シーズンに向けてチーム作りをしているのだろうか。

「駅伝の強化だけに重点を置くことを考えれば、チーム全体を同じ流れで強化し、常に成果を挙げている者を駅伝に起用していくというやり方があるかもしれせん。しかし、僕は個性にこだわりたい。当然、年間を通して駅伝に向けて取り組む者もいますが、個の特性を生かして、取り組んでほしい。スケジュールもバラバラになることがあるので、チームとして大崩れしないようにやっていくのは大変ですが、最終的に同じゴールが見えていれば大丈夫だと信じています。個を重視した強化については、僕のスタンスでもありますし、これまでの順天堂を作り上げてきたスタンスだと考えています」

 たしかに全員が同じ練習をして好走したり、レースで結果を出した選手を優先したほうが、手っ取り早くチームを作り上げることができる。選手も目に見える結果で優劣をつけられるので、ある意味、納得がいくところではある。だが、人は皆同じではなく、短い距離、長い距離、坂に強い選手と、いろいろな表情を持つ。長門監督は、個を重視したスタイルを進める理由をこう説明する。

「僕が学生の頃から、このスタイルでした。駅伝はチームスポーツだけど、個の集大成みたいなもの。人それぞれ合うこと、合わないことがあり、順大はその個性を重視して取り組んでいた。それが指導の理念になっています。指導を始めた頃に比べ、さらに個性を重視するようなスケジュールを組み立てるようになったと思います。それに対応してくれるスタッフや学生マネージャーには本当に感謝しています。

 三浦(龍司)のように個で追求できる選手をより成長させ、チームとしても個を大事にして強化していくやり方が、ここにきて結果に結びついてきた。昨年、三浦やチームの結果は自信になりましたし、今後の自分の指導に間違いなくプラスになってくると思います」

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長門 俊介

順天堂大学 陸上競技部 駅伝監督 
1984年生まれ、長崎県出身。諫早高校から順天堂大学に進学し、箱根駅伝は4年連続で9区を走った。卒業後はJR東日本に進み、2011年に順天堂大学陸上競技部のコーチ、16年に駅伝監督に就任した。3000メートル障害で塩尻和也、三浦龍司と2人のオリンピアンを輩出、22年の箱根駅伝では総合2位となりチームを15年ぶりのトップ3に導いた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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