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走る時は「グー」と「パー」どっちが速いのか 五輪100mトップ23選手の手を見てみると…【THE ANSWER Best of 2021】

トップスプリンターも「手」に試行錯誤、過去には手袋をつけて走る選手も

 しかし、秋本氏は現役時代、自分なりに試行錯誤したという。


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「僕はいろいろ試しました。普通のグーにしたり、親指を握るようなグーにしたり。結論は手のひらを変えて動きが良くなったのか、他の部分を意識して、手のひらの形に加えてその変化が良かったのか分かりませんでした。実際に手の形をカスタマイズすることで速度に直結するという論文、データも出ていません。だから、子供たちには『それよりも、かかとから接地しているから直そうか』という話を優先してます。

 カタールには手袋をつけて走る選手がいました。手袋をしていると、手のひらを握りたくなる感じがするのは分かります。僕も冬場に着る指抜きのウェア(袖から指部分のみを出すウェア)にすると、良い感じに手を握ることができる。適度な重さがかかることで感覚的に良くことがあります。例えば、僕は何も持っていないより、リレーでバトンを持っている方が走りやすかったタイプ。そういうことはあります」(秋本)

 ただ、他競技の選手の走りを修正する場合に生きることがある。

「陸上のトップ層でグーかパーを矯正されることは基本的にありません。でも、サッカーは事例があり、僕が見ている宇賀神友弥さん(浦和レッズ)はグーで肩に力が入りすぎていました。腕のどこでも力を入れようとすると、肩に連動してしまう。なので『パーにしてみたらどうですか? うまくリラックスできると思いますよ』と伝えたら肩の力が抜け、綺麗に走れました。野球やサッカーでは、効果が考えられます。

 ただし、子供に指導する際の『リラックス』は注意が必要です。子供に伝えてしまうと、力を抜きすぎてしまう子がいる。正しく力を入れることができず、ふにゃふにゃした走りになってしまい、逆に遅くなってしまう。なので『リラックス』『力を抜いて』という言葉は使いすぎないということは気をつけています。もし、小学校の先生や保護者の方で子供にアドバイスする時があれば、意識してほしいポイントです」(秋本)

 走りには「手」よりも大切なことがある。「グー」か「パー」かにこだわらない方が「チョキ(=Vサイン)」への近道になる。

■伊藤友広 / Tomohiro Itoh

 1982年生まれ、秋田県出身。国際陸上競技連盟公認指導者(キッズ・ユース対象)。高校時代に国体少年男子A400メートル優勝。アジアジュニア選手権日本代表で400メートル5位、1600メートルリレーはアンカーを務めて優勝。国体成年男子400メートル優勝。アテネ五輪では1600メートルリレーの第3走者として日本歴代最高の4位入賞に貢献。現在は秋本真吾氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。

■秋本真吾 / Shingo Akimoto

 1982年生まれ、福島県出身。双葉高(福島)を経て、国際武道大―同大大学院。400メートルハードルで五輪強化指定選手に選出。200メートルハードルアジア最高記録(当時)を樹立。引退後はスプリントコーチとして全国でかけっこ教室を展開し、延べ7万人を指導。また、延べ500人以上のトップアスリートも指導し、これまでに内川聖一(ヤクルト)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)、神野大地(プロ陸上選手)、阪神タイガース、INAC神戸、サッカーカンボジア代表など。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)




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