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ひとり親家庭の子どもたちに「きっかけ」を ラグビー選手が乗り出す不平等是正

子どもたちが自分の可能性に出会い、チャレンジし続けられる仕組みを作りたい

 調べてみると、ひとり親家庭の子どもたちは習い事に通う割合が少ないというデータが見つかった。このデータが事実なのか確かめようと、SNSで発信するひとり親当事者と連絡を取り、男女約10人にオンライン取材を実施。実際の声を聞いてみると「習い事をさせてあげたいけれど道具が買えずに断念した」「娘が小学校まで熱中して続けてきたバスケットボールを中学で辞めた。遠征費や送迎など親への負担が増えることに気を遣ったのだと思う」など、問題が具体化されてきた。

 さらに、習い事など学校外体験の少ない子どもは、多い子どもに比べると、自己肯定感や外向性、精神的回復力が低い傾向にあるというデータもあった。まさに、かつての自分そのものだ。そこで河合選手は、子どもたちの力ではどうすることもできない家庭環境による不平等を解消するために、貧困やひとり親家庭の子どもたちでも様々な習い事を知り、自分がやりたいものを見つけることができる体験会を開催するプランを立てた。イメージは「住宅展示場の習い事版」。一つの会場に集まった様々な習い事を体験するだけではない。体験し自分がやりたい習い事が見つかったら、次は継続して続けられるように月謝や送迎など習い事にかかる費用や時間をサポートするプランも盛り込まれている。

 その第一歩として、まずはラグビーの体験会開催からスタートすることにした。所属するCF山梨、山梨県内にあるラグビースクールなどの協力を得ながら、今年中に体験会を開催。希望者はラグビースクールに入会し、継続して通うことができる仕組みを構築する予定だ。ボランティアではなく事業として成り立たせるためにも資金を調達し、循環させなければならない。自治体からの補助金やスポンサー獲得が入り口となりそうだが、子ども食堂の運営など身近にあるモデルケースからもヒントを得ながら組み立てていく。

 安定した会社を辞めて、歩み始めた新たなキャリア。予測のつかない未来に不安がないと言えば嘘になるが、「不満を抱える人生より、不安を抱える人生の方を選べって、どこかで見たんですよね。不安は乗り越えようとするから楽しいし、確かにその通りだなって」と笑う。

「こういった未来を実現したいって考えることに楽しさを感じていますし、何よりも子どもは宝。きっかけさえ掴めば大きく羽ばたく可能性がある。家庭環境にかかわらず、すべての子どもたちに等しくチャンスが与えられれば、子どもたちのためにもなるし、日本の将来のためにもなる。僕の実体験も踏まえて、機会の不平等に入り込んでいきたいなって思うんですよね」

 一人でも多くのひとり親家庭の子どもたちが、見る景色の変わる経験を味わえるように、一歩一歩前に進んで行きたい。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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