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海外選手を受け入れる宿泊施設の舞台裏 用紙10枚以上の「食のリクエスト」内容とは

海外では慣れない日本食にも可能な限り対応準備ができている

 一方、チームからの細かいメニュー・リクエストを日常的に受け取っている海外の宿泊施設側にも、それを当たり前に受け入れる土壌があります。

 日本のチームや選手の「Menu Request」を作成し、先方の食事担当者と話をするたびに驚かされるのは、慣れない日本食に対しても可能な限り対応する準備ができている点です。

 彼らは、宗教上の食事の制約や、ビーガン、グルテンフリーといった指向、アレルギーによる多様な食のニーズに対応することは、当然のホスピタリティとして受け止めています。恐らく、アスリート・メニューもその一つと捉えているのでしょう。

 日本の場合、食の多様性に対応する宿泊施設やレストランも増えてはきていますが、まだほんの一部です。また、「スポーツ選手は肉や揚げ物が好き」という先入観を持つところもまだまだ多く、肉料理や天ぷら、コッテリしたソースやチーズのたっぷりかかった宴会料理を提案されることも少なくありません。

 しかし、アスリート・メニューは、コンディショニングを整える内容であることが第一です。パフォーマンスを発揮するためには、おいしく食べられることだけでなく、体に負担をかけず、良質のたんぱく質やビタミン、ミネラルを補給できることが重要。また、遠征時や缶詰状態が続く合宿時は、選手たちにも晴れの日の御馳走よりもホッとできる家庭的な食事が喜ばれますが、なかなか理解されにくい傾向があります。

 2年前にスポーツ栄養の勉強会を開催した際、国内のトップスポーツのチームの担当者から「自分たちもこのような『Menu Request』を作ってもらえるのか?」という質問を受けました。そのような現状を踏まえると、日本のスポーツ界はまだまだ、食のヴィジョンを描けているチーム、選手は、少ないのではと感じます。

 アスリート食が多様な食の選択枠の一つとして、日本で当たり前にリクエストでき、応えられるようになるのは、これからです。

 オリンピックや様々な国際大会の開催をきっかけに、アスリート食の重要性の理解が進むと、来日するアスリートたちにも世界基準の食事が提供できるようになり、本当の意味での食のおもてなしができます。

 その経験が広がることで、国内のトップアスリートはもちろん、スポ―ツ愛好家やスポーツをする子供たちも、合宿や遠征先でスポーツに適した食事がとれるようになり、安心してトレーングに集中できる環境が整備されていくことにつながっていくのです。

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(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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