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兵庫のアメフト名門高から渡米 修士取得した文武両道の理由、英語は欠点&友人がパーティー三昧も…

菅野はシラキュース大でアメフトと学業の両立した【写真:永塚和志】
菅野はシラキュース大でアメフトと学業の両立した【写真:永塚和志】

スポーツ留学を考える若者へ「すべての努力の点と点はいつか先になってつながる」

 菅野が言う。

「アメリカは学生に対して手助けのシステムがめちゃめちゃしっかりしているので、自分自身が能動的に勉強をしなければならないと思う環境にもっていってくれますし、学ぶことが将来のために大事だと思わせてくれる環境です」

 菅野がシラキュース大大学院で専攻したのは教育学部のInstructural design, development and evaluation(教育設計、開発評価)というもので、平易に言えば組織等で出てくる課題や問題を分析し、どう解決すべきかを学ぶものだ。

「簡単に言うと、例えばフットボールチームという組織で『こういう問題が起きていますよ』となった時に、その問題を分析してどういうインストラクション(指令、指示)をそのチームに落とせば問題を解決できるかというようなことを学びます」

 この日本ではなじみの薄い専攻について菅野はこう説明する。

 選手を終えてからもフットボールの指導者になることを視野にいれていた菅野は、大学院からの助言でこの専攻に決めている。アメフトが前提にあったということだ。

 関学高等部在籍時には英語が「欠点」で当時は大学院へ進学することなど考えもしていなかったという菅野だが、スポーツをしながら外国語で海外で修士の学位を取得するのは、大抵の努力ではままならなかったはずだ。アメリカでのどのような壁にぶつかったかと問うと彼は、アメフトと学業の両立するための「タイムマネジメント」だったとする。

「カレッジのスポーツをやることっていうのはフルタイムジョブをやるのと一緒だというのはよく言われていることで、まわりでみんながパーティーをしたり遊びに行ったりしている中、自分は練習をして、午後クラスに行って、宿題もいっぱいあってという日々を過ごしていました」

 華やかなキャンパスライフの日々というわけにはいかなかった様子の菅野だが、アメリカという異国で文武両道に励んだことからこそ得られたものを、これから海外の大学などでスポーツ留学を考える日本人の若者たちにも伝えていきたいと考えている。

「アスリートの寿命は短く、人生全体を考えた時に学位を取ることや大学で何かを学ぶことというのは絶対、将来につながること。アメフトに限らず、日本の選手たちには人生が長いことを理解し、かつプロへ行く道はすごく狭いものだとをわかった上で、すべての努力の点と点はいつか先になってつながるので、これからの日本でもそういう価値観が芽生えていったら嬉しいなと思っています」

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