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「学校からの苦情はウェルカム」 部活紹介サイト運営者が語る卒業生“口コミ”の力

「Foot Luck」を運営する中村圭吾さん(右)と創業当初からのメンバーで取締役の河崎龍之介さん【写真:Liva Co.】
「Foot Luck」を運営する中村圭吾さん(右)と創業当初からのメンバーで取締役の河崎龍之介さん【写真:Liva Co.】

酷いことを続けている監督は「それを分かっていない」

 高校サッカーの監督たちは、どうしても「裸の王様」になりがちだった。結果さえ出し続ければ、異論に耳を貸す必要もなくなり、また声を挙げる者もいなくなる。

 中村さんの試みは、そんな体質に風穴を開ける可能性を秘めている。

「酷いことを続けている監督は、それを分かっていないはずです。選手は文句を言わないし、保護者から苦情がきても“部外者が何を言っているんだ”程度の感覚だと思います。でもこのサイトでは、卒業生たちがリアルな評価を下してくれます。表向きは素晴らしいことを語っている監督でも、実際はどうなのか。逆に支持をされているなら、迷わずそのまま進んで欲しい。だから口コミが事実で、もしそれが露呈して受験生が減るようなことがあり、学校から苦情が来るなら僕らはウェルカムです。そこまで影響力があり、気にされる存在になったということですからね」

 これまで高体連の活動は、あまりに密閉性が濃かった。監督は教師の立場でもあり、途中で移籍や退学ができない選手たちは、大きな不満を抱えたとしても黙って従うしかなかった。

「でもこのサイトでは、ジャッジするのは学校でも指導者でもなく選手です」

 中村さんが始めた部活の実態を炙り出す口コミ情報の提供が、やがて学校側の意識改革を促す日が来るのかもしれない。

(最終回へ続く)

■中村圭吾

 1995年10月28日生まれ。小学2年生からサッカーを始め、最初はDFだったが途中からGKに転向。山梨学院大学付属高校時代にはU-16日本代表に選出。神奈川大学でもプレーを続け、卒業後に就職し後に起業。株式会社Livaを経営しながら、今年サッカー関連サイト「Foot Luck」を起ち上げ、高校サッカー部OBの実体験に基づく声を集めた口コミサイトが好評を得ている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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