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「不幸せな人が85%」 高校サッカー部紹介サイトを元U-16日本代表GKが作った理由

中学生を指導するコーチの言葉に「10年前と何も変わっていない」

 年明け早々に中学生を指導する同年代のコーチたちが交わす会話を耳にした。

「Aの進路は、どうする?」
「取り敢えず〇〇高校の練習会へ行かせたよ。とにかくアイツ成績悪いから、あそこでも行かせるしかないよな」

 中村さんは「これでは10年前と何も変わっていない」と愕然とした。

 コーチが横の繋がりだけで、唯一の選択肢を選手たちに押しつけて送り出してしまう。

「こんな進路サポートがまかり通っていたら、選手たちが可哀想。みんなダメになる」

 そう思った瞬間に「自分が変えなければいけない」という義務感がこみ上げた。

 もともと長い歳月をかけて、地道に努力をしていくタイプではないという。

「将来サッカー選手になりたいと、黙々と頑張るタイプではない。逆に人が困っていたら自分が助けなければならない。そういう衝動から行動を起こすタイプなんだと思います」

 最初はテスト的に、周辺の繋がりから50件ほど出身校の口コミを集めてみた。

「凄く良いか、凄く悪いかでしたが、やはり悪い方が多かった。外から見えている良い評判と、内部での捉え方は違った。選手たちが不満を抱えている強豪校がある一方で、無名でも物凄くポジティブな意見が書かれている学校もある。これを見て(サイト運営を)進めていくべきだと決断しました」

 7月にスタートして3カ月間が経過した。反響は予想以上だった。

(第2回へ続く)

■中村圭吾

 1995年10月28日生まれ。小学2年生からサッカーを始め、最初はDFだったが途中からGKに転向。山梨学院大学付属高校時代にはU-16日本代表に選出。神奈川大学でもプレーを続け、卒業後に就職し後に起業。株式会社Livaを経営しながら、今年サッカー関連サイト「Foot Luck」を起ち上げ、高校サッカー部OBの実体験に基づく声を集めた口コミサイトが好評を得ている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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