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「日本一」が迎えに来た最後の秋 4つの2位に涙、貫いた一礼…高校ラストレースで訪れた逆転劇――佐久長聖・阪真琴

インハイで力走した阪【写真:井上学】
インハイで力走した阪【写真:井上学】

「日本一」が迎えに来なかった最後の夏

 しかし、最後のインターハイで「日本一」は迎えに来なかった。

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 400メートル障害決勝。ラスト1台で楠田ゆうな(鹿児島女子3年)に逆転され、0秒11差で2位。続く100メートル障害、4×400メートルリレー、さらに学校対抗も2位だった。5日間で8レース。どれも及ばず、涙を流した。

 忘れられない場面がある。

 最後のマイルリレーのレース後。「佐久長聖」が2番目に表示された電光掲示板をじっと見つめていた阪は、やがて仲間に声をかけ、整列した。

「ありがとうございました!」

 4人で深々と頭を下げ、トラックに一礼した。ナイター照明も当たらない通路の脇。観客の目も向いていない。それでも、いつも通りに。頭を上げると、胸を張って引き揚げていった。

 直後の取材。阪はこらえていた涙を拭い、「日本一にはなれなかったけど……」と切り出した。

「なりたい自分を目指してやってきたことは、誰にも奪われないし、なくならない。これから、もっと強くなりたいと思う時、ひとつの自分らしさとして、この経験を強さに変えて、いろんな人に応援される強い選手になりたい」

 日本一にはなれなかった。

 それでも、阪真琴は「日本一」にふさわしい陸上選手だった。

 あの夏、そう書いた。

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