ベリベリホース流行の火付け役「絶対使った方がいいと…」 戸崎圭太に聞いた“名言”誕生の裏側

ドバイでの勝利後「パッと出た」ひと言で掴んだ変化
「けがもして、上手く乗れない時期がありました。その時に、『これはより馬を感じて乗らなきゃ』と思った時に、だんだんとその感触、感覚が良くなってきたんですよ。『わあ、馬と通じるってすごく楽しいな』と思えてきたんです」
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この心境の変化が、成績にも直結した。22年に年間136勝を挙げてリーディング2位に返り咲くと、その後は各実力馬に騎乗し、次々とG1タイトルも手にした。23年にはソングラインでヴィクトリアマイルと安田記念に勝利。24年はジャスティンミラノで皐月賞を、レガレイラで有馬記念を制覇した。
そして昨年の戸崎騎手を語る上で外せないのが、著書のタイトルにも入っている「ベリベリホース」という言葉だ。それは昨年4月、ダノンデサイルとのコンビで挑んだG1・ドバイシーマクラシック勝利後、馬上インタビューで飛び出した。
後にジャパンカップをレコードタイムで勝利するカランダガンの追撃を押さえ、先頭でゴールを駆け抜けた。興奮冷めやらぬ中、戸崎騎手は苦手だった英語でのインタビューに応じた。「すごくいい馬」という思いを伝えたったと推察されるが、「準備していたわけではなく、パッと出たので」と当時を回顧。もっとも、すぐに自ら“持ちネタ”として使い始めると、すっかり競馬ファンの間でも流行語となり、おなじみのフレーズとして定着した。
実は、流行となるきっかけを後押しした人物がいた。「(坂井)瑠星に『絶対使った方がいいですよ』と言われました。『え、そうなんだ』と戸惑いもありましたけど、瑠星が言うなら使ってみるかと……」。後輩騎手のアドバイスをきっかけに使い始めたが、ここまでの反響は予想外だったという。
「皆さんに浸透して、ファンの方も一緒に『ベリベリホース』と言ってくれるので、すごくありがたいですよね」と照れ笑いを浮かべ、当初の“迷言”が、“名言”になったことに感謝する。そして、この言葉に救われたことも明かした。
「昨年は『ベリベリホース』で本当に勢いをつかせてもらいました。自分自身もそこから変わった意識があります」。事実、その後もエリザベス女王杯をレガレイラで制し、中央132勝を挙げて勝利数2位、勝率3位、獲得賞金3位という好成績を残して、2年連続6度目となる、騎手にとっての栄誉「MVJ(Most Valuable Jockey)」を受賞した。
さらに「あの言葉をきっかけに僕を知ってもらえたことで、もっと発信していこうという気持ちになりました」と自らの殻を破るきっかけにもなった。これまでSNSには触れてこなかったが、昨年5月に公式YouTubeチャンネルとインスタグラムを開設。YouTubeは12月時点で登録者数が10万人を超えるなど大きな注目を集めた。
その変化は、若手騎手たちにも伝わっている。「(横山)武史から『戸崎さんの話を聞きたい若手騎手がたくさんいますよ』と言われました。今度飲み会を開いてくれるみたいです」と明かし、存在感の広がりがうかがえる。昨年つかんだ「ベリベリホース」の流れは著書の出版、そして新たな挑戦と、幸運を運んできた。
さて、春のG1シーズン、クラシック戦線もいよいよ本格化する。「けがなく1年間やって、少しでもリーディングに近づきたいなと思っています。大きいレースでも有力馬に乗せていただいているので、どんどん勝っていきたいです」と言葉に力を込めた。再び熱き戦いを迎える45歳の進化は、まだまだ止まらない。
■戸崎圭太(とさき・けいた)
1980年7月8日、栃木県生まれ。98年、南関東・大井競馬で騎手デビュー。2008年から12年まで5年連続で南関東リーディングジョッキーを獲得する。11年にはリアルインパクトで安田記念を制し、中央G1初制覇。13年に中央へ移籍すると、翌14年から3年連続でJRAリーディングジョッキーに輝いた。16年には特別模範騎手賞を受賞。25年4月、ドバイで行われたドバイシーマクラシックを制し、海外G1初勝利を達成。その際に放った「Very very horse!(ベリベリホース)」という言葉が話題に。160.8センチ、49.7キロ。
(THE ANSWER編集部)
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