世界の強豪に15-19肉薄、低迷ラグビー日本代表に何が… 抗った宿命、感じた異質「ノーガードの打ち合いが…」
ラグビー日本代表は、欧州での秋のテストマッチシリーズのために10月29日に英国・イングランドへと飛び立った。11月1日には、10年前に同じイングランドで歴史的な金星を奪った世界ランキング1位の南アフリカとの対戦が待ち受ける。シリーズ開幕戦として臨んだ10月25日の「リポビタンDチャレンジカップ2025」(東京・国立競技場)は世界ランキング7位のオーストラリア代表(日本はランク13位)に15-19と迫る惜敗。昨年復帰したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が率いたチームでは、世界の強豪国に最も肉迫した80分を演じた。昨季は日本よりランキング下位のジョージアにも敗れるなど低迷を続けた桜のジャージーに何が起きているのか。白熱の80分から、チームの進化を振り返る。(取材・文=吉田 宏)

大善戦オーストラリア代表戦を回顧 白熱の80分からチームの進化を振り返る
ラグビー日本代表は、欧州での秋のテストマッチシリーズのために10月29日に英国・イングランドへと飛び立った。11月1日には、10年前に同じイングランドで歴史的な金星を奪った世界ランキング1位の南アフリカとの対戦が待ち受ける。シリーズ開幕戦として臨んだ10月25日の「リポビタンDチャレンジカップ2025」(東京・国立競技場)は世界ランキング7位のオーストラリア代表(日本はランク13位)に15-19と迫る惜敗。昨年復帰したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が率いたチームでは、世界の強豪国に最も肉迫した80分を演じた。昨季は日本よりランキング下位のジョージアにも敗れるなど低迷を続けた桜のジャージーに何が起きているのか。白熱の80分から、チームの進化を振り返る。(取材・文=吉田 宏)
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秋を通り越したような国立競技場が溜息と歓声に包まれた。雨が打ちつけるスコアボードに浮かんだ「15-19」というスコアが様々な思いを湧き起こす。いつもは雄弁な敗軍の将も、会見では「Well(うーん)」という一言から沈黙すること7秒。その思いを語り始めた。
「残念な結果です。何が残念かというと、やはり前半の30分でベストな状態を見せられなかったことです。理由は選手の緊張であったり、オーストラリアが所々でボールにプレッシャーをかけてきたため。でも、選手はファイトをし続け、最後まで失速することはなかったことは誇らしく思っています。勝てる所まで持って行けたにも関わらず今回は力が足りなかったが、ポジティブな収穫はありました。闘争心は間違いなく成長しています」
前後半でストーリーが全く異なる物語を見ているような80分間だった。オーストラリア代表ワラビーズは、日本戦の3週間前に行われたニュージーランド戦から先発13人を入れ替えてきた。先発15人の平均キャップ数では日本の20.9に対して21.9と経験値ではほぼ互角。しかし、エディーが率いた2023年ワールドカップでの史上初のプール戦敗退からオーストラリアは着実に力を取り戻してきた。8月には南アフリカ代表を倒し、アルゼンチン、ニュージーランドとも互角の戦いを演じている。
日本にとって過去6戦全敗という相手に挑む戦いだったが、序盤戦からゲームの主導権を掴めない。個々の接点では明らかに後手を踏む展開を、8月のカナダ戦から主将を担うLOワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)は「前半は規律が良くなくて自分たちのアタックが出来ない時に、相手はすごいプレッシャーを掛けてきた。それをクリーンアウト出来ずに、前半はいいゲームが出来なかった」と振り返ったが、エディーがスキッパーの言葉を補うように続けた。
「前半のジャパンは、速くボールを動かしたいという気持ちがある中で、ネガティブな状況からも速い展開をしてしまっていた。例えば、ラインアウトからのアタックでも1つ目、2つ目のラックからクイックにボールを出せていないにも関わらず、無理矢理(ボールを)動かそうとするから効果的なアタックになっていなかった」
「超速ラグビー」というスピードに拘り、積極的にアタックを仕掛けるチームスタイルに取り組む日本だが、エディーの語る「効果的なアタック」のためには忍耐力が必要だ。攻撃フェーズを我慢強く重ねる中で、相手防御に綻びを作らせ、その間隙を突く。これが日本の鉄則だが、接点でのフィジカリティーで優位に立ったワラビーズはしたたかだった。
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