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世界陸上の裏で新大会創設に奔走 十種競技のレジェンド・右代啓祐×中村明彦が始動

世界へ羽ばたくための大会を日本国内に作りたいという右代【写真:藤岡雅樹】
世界へ羽ばたくための大会を日本国内に作りたいという右代【写真:藤岡雅樹】

山形で受け継がれてきた混成競技の歴史…山形TFCとの出会い

 2人とも若かりし頃に世界レベルを体感したことが、アスリートとして大きく成長するきっかけになったと感じている。右代は「初めて世界大会に出た時、試合の一体感に混じることができなかった」と悔しさをバネにした。そこから積極的に海外の大会に出場したり、海外のコーチに師事したり、経験を重ねながら「自分の居場所を作っていった」という。海外でも顔と名前が認識される頃には、オリンピックや世界陸上が夢ではなく目指すべき舞台となっていた。

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 中村はそんな右代の姿を追い、ともに世界で戦った。初めての世界大会は「テレビ画面でしか知らない世界が目の前に広がっている感じ。フワフワもしたし、緊張もしたし、訳が分からないまま試合が終わってしまったこともありました」と振り返る。だが「それも経験。1人でも多くの選手が混成競技を通して、競技だけではなく、その後の人生にも何かインパクトのある経験ができるといいと思うんですよね」と話す。

 世界で戦える選手になるために自分には何が必要なのか。どんなステップを踏めば世界の舞台が見えてくるのか。その答えにつながる気付きを得るには「百聞は一見にしかず。海外の選手と実際に戦ってみるしかない」と2人は声を揃える。一方で「現状、海外選手を招聘している混成競技大会は国内にはないと思います」と右代。だからこそ、海外のレベルを感じられる大会を、日本に自分たちの手で作ってしまおうというのだ。

 その第一歩となる今年の「10&7 Championships」だが、なぜ開催地が山形となったのか。それは運命とも言える「山形TFC」との出会いがきっかけだった。

 2004年から山形市で総合型地域スポーツクラブとして活動する山形TFCは、2011年に山形TFC混成競技記録会を開始。2024年にゲストアスリートとして参加した右代は、幼い頃から混成競技を身近に感じている子どもたちと触れ合い、混成競技と真剣に向き合う中高生・一般アスリートたちの姿を見て、「自分たちの目指すことを山形だったらできるのではないか」と、五十嵐徹理事長に相談したという。

「混成競技に特化した大会は全国でも珍しい。そこで五十嵐先生にお声掛けしたら『是非是非やらせてください。本当に来てくれるんですか?』と仰有っていただき、今年から『山形TFC混成競技記録会』と『10&7 Championships』を共同開催させていただくことになりました」

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