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イチローより先に米野球殿堂を沸かせた日本人 世界が驚く超軽業…フェンスをスルスル、オリ先輩の偉業「本当にできるなんて」

65歳になるが山森さんのノックは自由自在。現代の選手にも本塁打キャッチを期待している【写真:羽鳥慶太】
65歳になるが山森さんのノックは自由自在。現代の選手にも本塁打キャッチを期待している【写真:羽鳥慶太】

米野球殿堂で見つけた自分の姿…現在も期待するスーパーキャッチ

 はたして、山森さんのプレーは海を渡った。野球殿堂博物館では日本野球のコーナーに「Baseball’s Greatest Catch(野球史上もっとも偉大なキャッチ)」として写真で紹介され、場内のミニシアターでも米大リーグのさまざまなスーパープレーとともに上映され続けている。該当の場面では、観客が声を上げて驚くのが“お約束”だ。

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 51歳になった2011年の冬、山森さんは家族4人で米野球殿堂を訪れた。「福本さんに言われたんです。1回行ってこいって」。ニューヨークからレンタカーを運転し5時間ほど、クリスマス直後の寒い日だったという。殿堂博物館で流されていたムービーの中に、確かに自分の姿があった。

「息子も『お父さん、出てる! 出てる!』って」。海外のファンが自分のプレーに驚きの声をあげている。信じられないような誇らしいような、不思議な気分だった。「私、ほぼあのプレーしかないですからね。その当時でもう30年以上前の話でしたけど、本当に懐かしかった」。

 山森さんは1994年限りで現役を引退し、コーチとなった。専門はもちろん外野守備。現代の選手に、20歳だった自分と同じように「やってみないか?」と声をかけることはないのだろうか。「球場のフェンスがどんどん高くなっちゃってね。西武ドーム(現ベルーナドーム)はできるのかな。あとどこだったか地方球場に行った時に『これ登れるよね』と話したことはありますかね……」。広い球場が増え、外野手の見せ場は間違いなく増えた。一方ではフェンスまで使ってのプレーが難しい現状が寂しそうだ。

「でも、やってもらいたいですよね。やっぱり僕らはプロなので、お客さんに素晴らしいプレーを見せなきゃいけない。捕れる捕れないは別にして、そういうチャンスがあれば見せてもらいたいなと思います」

 11月には65歳になるが、今季もBCリーグの栃木でヘッドコーチを務め、ノックバットを握る。試合で使う地方球場は、どこもフェンスに登れる構造だ。今はスーパープレーが、SNSですぐに拡散する時代。再び世界を驚かせる若者の出現を、心待ちにしている。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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