バレーボールは「高さは正義」なのか 世界は女子190cmも当たり前 「現実」に屈しない日本への期待

エース石川は174センチだが…各国は190センチが当たり前
気になるのは「エース」の身長。174センチながらイタリアで経験を積み、世界の「高さ」を苦にしない石川は素晴らしい。同じ174センチの和田由紀子や178センチの佐藤も活躍している。ただ、強豪国のエースは190センチ台が当たり前。「小さなエース」は耳障りはいいが、正直あと20センチ、いや10センチ高ければ頂点に立つ確率も高まるのではと思ってしまう。
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1976年モントリオール五輪金メダルのエース白井貴子は180センチ、80年代から90年代に活躍した大林素子は185センチ、いずれも当時は世界と競り合う高さだった。04年アテネ五輪の「メグカナ」(栗原恵、大山加奈)はともに187センチ、12年ロンドン五輪銅メダルの木村沙織は185センチ。ところが、今の石川らは170センチ台。高身長化する世界との差は開く一方だ。
「高さに対抗して勝つ」と話すアクバシュ監督だが、長身アウトサイドヒッターの必要性は強く感じているはず。秋本への期待の大きさは試合中にも分かった。ミスのたびに肩をたたき、声をかける。そのプレーを「まだまだ」と評した言葉の裏には、エースに育てるという強い決意を感じた。
「でも、結局は高さで負けるんだろ。やっぱり、バレーボールは身長だもんな」と友人。返す言葉に困った。昨年のネーションズリーグでメダルを獲得したとはいえ、「本番」のパリ五輪で1次リーグ敗退したのが現実。コンディションを万全に合わせて臨めば「高さ」にも勝てるだろうが、それが難しい。何しろ「高さ」にはスランプがないのだから。
「高さは正義」がすべてだとは思わないし、日本バレーを見ていると高さを克服して勝つ方法はあると思える。ただ、日本と世界の「高さ」の差があまりに大きくなると、それも難しくなるはずだ。ある意味「高さは正義」は現実だ。
ネーションズリーグは男子が16日に開幕。こちらも、世界との「高さ」の差は小さくない。サーブで相手を崩し、拾いまくり、つなぎまくる。粘り強さと技術で相手を凌駕する。「高さ」に屈しない、そんな試合が見たい。身長だけで勝敗が決まらないから、スポーツはおもしろいのだ。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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