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子どもがプロになれると思う親はどれだけいる? あまりに甘い夢、期待と課金で不満も…世帯年収で興味深い差が米国で判明

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「アメリカの保護者の楽観的思考」。

今回は「アメリカの保護者の楽観的思考」(画像はイメージ)
今回は「アメリカの保護者の楽観的思考」(画像はイメージ)

「Sports From USA」―今回は「アメリカの保護者の楽観的思考」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「アメリカの保護者の楽観的思考」。

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 アメリカの親たちの楽観的で甘い夢が子どものスポーツを過熱させる。

 スポーツをする子を持つアメリカの親たちが、あまりにも甘い夢を抱いていることがデータから明らかになった。

 アメリカの大学スポーツで最もレベルが高いのはNCAA(全米大学体育協会)の1部であるが、NCAA1部に入ることができるのは高校生選手のうち1~4%に過ぎない。(ちなみに高校生選手も各校の運動部のトライアウトをパスした生徒たちである)。ところが、我が子はNCAA1部でプレーできる能力があると考えている親は22.2%もいる。

 さらに、プロアスリートになれるのは、高校生選手のうち数千人から1万人に1人であるが、我が子には将来的にプロアスリートになる能力があると考えている親は11.4%いる。オリンピアン・パラリンピアン、国の代表選手になれると考えている親も10.9%いる。

 いずれも、米国の非営利シンクタンクのアスペン研究所がスポーツをする6歳から18歳までの子どもを持つ全米の約1800人の保護者を対象にした調査結果からわかったものだ。

 また、「お子さんが成長したとき、将来的にはどのレベルでプレーできる能力があると思いますか?」という質問の回答を世帯年収別にみると、違いがあった。

 世帯年収5万ドル(約729万円)未満ではNCAA1部と答えたのは15.8%、世帯年収5万ドル(約729万円)以上10万ドル(約1458万円)未満では25.5%、10万ドル(1458万円)以上では26%となっている。

 プロになれる能力があると答えたのは、世帯年収5万ドル(約729万円)未満で10.2%、5万ドル(約729円)以上10万ドル(約1458万円)未満で13.7%、10万ドル(約1458万円)以上では9.7%だった。

 興味深いことに最も世帯年収が高い世帯は、NCAA1部でプレーできると考えているけれども、プロになれると考えている人は少ない。よく知られている強豪の運動部でプレーすることは望んでいるが、将来の職業とは考えていない、という親がいるからだろう。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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