記者席に届かなかった山本由伸7回0封の絶叫 かき消した大歓声、指揮官の笑みに透けた「エース」の証し
米大リーグ・ドジャースの山本由伸投手は20日(日本時間21日)、本拠地ダイヤモンドバックス戦に今季10度目の先発登板。渡米後最多の110球を投げて7回1安打無失点、9奪三振の好投を披露した。9回に追いつかれたため6勝目はならなかったものの、ドジャースは延長10回の末に4-3のサヨナラ勝ち。防御率はリーグ2位の1.86となった。指揮官も唸る気迫の投球で、名実ともに「エース」としての信頼を勝ち獲った。

ダイヤモンドバックス戦
米大リーグ・ドジャースの山本由伸投手は20日(日本時間21日)、本拠地ダイヤモンドバックス戦に今季10度目の先発登板。渡米後最多の110球を投げて7回1安打無失点、9奪三振の好投を披露した。9回に追いつかれたため6勝目はならなかったものの、ドジャースは延長10回の末に4-3のサヨナラ勝ち。防御率はリーグ2位の1.86となった。指揮官も唸る気迫の投球で、名実ともに「エース」としての信頼を勝ち獲った。
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球数はすでに104球に達していたが、ドジャースベンチに動きはなかった。「球数も、3巡目ということも関係ない。あの時、彼が我々のベストな選択肢だと感じた」。1-0の7回2死一、三塁。デーブ・ロバーツ監督は山本の表情を見て決めた。「最後の打者と対戦したがっている。私はマウンド上の男を見て、信頼した」。メジャー自己最多の110球目。バットは空を切り、山本は雄叫びを上げた。
4連敗中の苦境を救う役目を26歳の右腕に託した。試合前の会見、指揮官は「こういう夜こそエースがストッパーとして活躍し、長いイニング投げることが求められる」と期待を込めた。7回1安打無失点、9奪三振と要望通りの快投。試合後に改めて「エース」と呼んだことを聞かれたロバーツ監督は「その言葉にはかなりの物が伴う。だから非常に気を付けて使うようにしている」と重みを強調した。
「数字的な実績はもちろん、必要な時に長い回を投げられる能力、右打者にも左打者にも対応でき、最上級でいられる投手はメジャーでも一握りだ」。限られた投手にしか与えられない「エース」の称号。その看板を山本に背負わせるためにも、「球団の現状も踏まえ、あのイニングを切り抜けさせる最高のチャンスを彼に与える必要があると感じた」と指揮官はブルペンの準備さえギリギリまでさせなかった。
空振り三振を奪い、ガッツポーズしながら叫んだ山本の声は5階の記者席には届かなかった。5万1932人が埋めたドジャースタジアムの大歓声がそれをかき消したからだ。ベンチに引き揚げるヒーローを「ヨシ! ヨシ! ヨシ!」の大合唱が出迎える。「彼は我々の判断が正しかったと証明してくれた」。ニヤリと笑ったロバーツ監督。誰もが認めるドジャースの新エースが誕生した瞬間だった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)